マンションや二世帯住宅の階下への騒音対策は、床の防音性能を高めることがポイントです。今回は1,000円から始められる手軽なDIYや、快適な住まいを手に入れるための本格リフォームをご紹介します。

近隣トラブルのおもな原因は騒音に関するものです。
マンションや二世帯住宅など、騒音に配慮する必要がある物件では、床の騒音対策がとくに重要です。
足音や話し声など、何気ない生活音も相手にとっては騒音と捉えられかねません。
今回は床の防音に関して、DIYで手軽にできる方法や本格的なリフォームについて解説します。
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床から伝わる2種類の騒音
床から伝わる音には、大きく分けて「重量床衝撃音」と「軽量床衝撃音」の2種類があります。
重量床衝撃音
重量床衝撃音は、子供が飛び跳ねたときや椅子を引いたときなどに響く、鈍くて低い音を指します。
建物の構造によって響き方が変わってくるため、重量床衝撃音への対策は、建物の基本構造や床の材質そのものの改善が必要です。
つまり、建物の基礎にコンクリートのような固くて重い材質が使われている場合、重量床衝撃音は伝わりにくくなります。
軽量床衝撃音
一方の軽量床衝撃音は、金属製のスプーンを落としたときやスリッパで歩くときのように、軽くて高い音を指します。
軽量床衝撃音に対する遮音性能は、床の表面に吸音性が高い材質のものが使われているほど有効です。
つまり、フローリングよりも畳やカーペット床のほうが、軽量床衝撃音は伝わりにくくなります。
DIYでできる床の防音
具体的な床の防音として、まずはDIYでできる簡単な方法からご紹介します。
カーペットを敷く
費用の相場:1,000円~/㎡
床の防音でもっとも手軽かつ効果的な方法が、カーペットを敷くことです。
遮音性の高いフローリングには及ばないものの、遮音性能のあるカーペットを敷けば、フローリングのみの場合よりも高い遮音効果が得られます。
とくに軽量床衝撃音に対しては、カーペットを敷くことで軽減されるでしょう。
フローリング床の広範囲をカーペットで覆うことで、より効果的に防音できます。
大きいサイズのカーペットが見つからない場合は、タイルカーペットを敷き詰めることでも効果的です。
防音マットを敷く
費用の相場:1,500円~/㎡
カーペットよりも、さらに防音性に優れた製品が防音マットです。
防音マットは通販サイトやホームセンターなどで購入でき、1枚あたり50cm×50cmのマットをフローリングに敷き詰めて使います。
防音マットを選ぶときは、「遮音等級(LL値)」の数値が小さいものを選びましょう。
遮音等級とは、防音性能の基準を示す数値であり、音の軽減値はLL値で表されます。
高性能の防音マットは、階下に音がほとんど聞こえないLL-35です。
一般的なカーペットはLL-50、防音カーペットでLL-45ですので、LL-35の防音マットは非常に防音性能に優れています。
本格的な床の防音リフォーム
具体的な床の防音リフォームとしては、以下の4種類が挙げられます。
・クッションフロアに張り替え
・遮音機能のあるフローリングに張り替え
・コルクタイル床にリフォーム
・二重床にリフォーム
それぞれのリフォームについて、費用相場も含めて詳しく解説します。
クッションフロアに張り替え
費用の相場:3,000円~5,000円/㎡
クッションフロアは塩化ビニル樹脂を原料とし、防音性だけでなく耐水性や防汚性に優れた床材です。
フローリングの上から施工できるため安価で仕上がり、また専用の接着剤やボンドを使えばDIYでも施工できます。
またタイル調や木目調、チェック柄あるいは無地など、デザインのバリエーションも豊富です。
耐水性や防水性の高さを活かして、トイレや脱衣所、子供部屋やペットのいる部屋などにおすすめします。
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遮音機能のあるフローリングに張り替え
費用の相場:4,000円~1万円/㎡
防音フローリングは遮音性能を持つ緩衝材を下地に使用したフローリング材です。
緩衝材が床の振動を吸収することにより、音の響きを半減する効果があります。
とくに軽量床衝撃音に対して効果的で、床の遮音性が求められるマンションなどにおすすめです。
既存のフローリングの上に遮音フローリングを敷き詰める重ね張り工法を採用すれば、新規張り替えよりも施工費用が抑えられます。
なお、遮音フローリングの遮音等級はLL-40~45が目安となります。
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コルクタイル床にリフォーム
費用の相場:9,000円~2万円/㎡
コルクタイルは防音になるだけでなく、防火性や防水性にも優れ、なおかつ調湿機能も持ち合わせた床材です。
コルクの気泡は弾力性があるため、とくに軽量床衝撃音を吸収して和らげる効果があります。
適度なクッション性と柔らかな肌触りもあり、子供部屋の床材としてもおすすめです。
二重床へリフォーム
費用の相場:1万5,000円~2万円/㎡
二重床とは、マンションなどのコンクリートスラブの上に支持ボルトを立て、その上から下地材を貼ったフローリングを施工する工法です。
コンクリートスラブとフローリングとの間に空間を作って二重構造にすることで、軽量床衝撃音を階下に伝わりにくくします。
騒音を抑える以外にも、二重床は配管工事がしやすいというメリットがあり、配管の移動を伴う水回りのリノベなどに対応しやすくなります。
重量床衝撃音への対策
本格的な防音リフォームを4つご紹介しましたが、いずれも軽量床衝撃音を効果的に抑える方法です。
重量床衝撃音を根本的に解決するには、コンクリートスラブを厚くし、振動に強い床にするしかありません。
コンクリートスラブは厚ければ厚いほど、床が重くなって振動しにくくなり、階下に響く音は軽減されます。
しかし、マンションなどの集合住宅では、コンクリート構造躯体は共有部分にあたるためリフォームできません。
コンクリートスラブそのものが厚い集合住宅は、賃料が高くなる傾向にあります。
階下に重量床衝撃音が伝わるのを抑えたいのであれば、生活スタイルそのものを見直す必要があるでしょう。
まとめ
マンションや二世帯住宅の床の騒音対策について解説しました。
階下への騒音は、DIYでも手軽に対策することができます。
リフォームやリノベーションを検討している方は、フローリングの張り替えや二重床など、より効果的な対策もおすすめです。
なお、マンションの場合は管理規約を確認し、管理組合にリフォームの許可を得てから着手しましょう。
monocla(モノクラ)では、防音に関するリフォームの事例を画像付きで紹介しています。
効果的な防音のリフォームをご検討中の方は、ぜひご参考になさってください。