築年数の経った住宅がライフスタイルや家族構成の変化で住みにくくなってきた場合や、新たに中古住宅を購入した場合、リノベーションを検討する人は多いでしょう。部分的な改修を行うリフォームとは違って、構造部分だけ残して室内部分を一から作り直すリノベーションは、新築時よりも付加価値を加えられる方法として最近注目されています。
しかし、室内をすべて解体し、間取りを考えて住宅設備や内装をひとつずつ決めていくリノベーションを行うには、それなりの資金が必要です。高額になりやすい工事だけに、補助金を活用して上手にリノベーションをしたいもの。
この記事ではリノベーションにまつわるさまざまな補助金に注目し、その概要や対象の工事内容、補助を受けられる金額などを紹介します。
リノベーションに関する補助金の種類は？
これまで、日本の住宅流通市場は新築が主流でした。しかし中古住宅のストックが増え続けていることから、政府や自治体は中古住宅をリノベーションして流通市場に乗せ、活用するよう推進することに積極的になってきています。それに関連して、さまざまな補助金制度を設けています。
また、補助金を使ってリノベーションをした年に確定申告をすると、減税することもできます。こうした制度を上手に利用すれば、リノベーションによって住み心地のいい住宅を手に入れやすくなると言えるでしょう。
リノベーションを対象とした政府の補助金
政府がリノベーションを対象とした補助金を交付している事業としては、住宅ストック循環支援事業があります。住宅ストック循環支援事業は、良質な住宅を増やしてストックを形成すること、住宅流通やリフォーム関連の市場を活性化するのが目的です。支給される補助金には3つの種類があります。
まずはエコリフォームです。断熱工事やバリアフリー工事、耐震性を確保するための工事が対象となり、上限は30万円です。耐震性の確保のための工事については上限45万円です。
次はエコ住宅への建て替えです。築年数が古く耐震性がない住宅を耐震性の高い住宅へと建て替える工事に対して、30～50万円が支給されます。
そして良質な中古住宅の購入についても補助金が出ます。購入者が40歳未満で、中古住宅を自宅として購入する際に住宅診断を行う費用として5万円が支給されます。
リノベーションとして上記の内容を含む工事を行うことで、補助金を受け取ることができます。
リノベーションを対象とした自治体の補助金
政府とは別に、各自治体でも独自でリノベーションを対象とした補助金を支給しています。たとえば東京なら、省エネルギー化として窓や壁等の断熱工事を行うとリノベーション工事費の1/6に当たる金額が補助されます。上限は50万円です。大阪では、低所得者を対象とした木造住宅の耐震診断や耐震改修工事等を行うと、その内容によって4.5～40万円の補助金が支給されます。
このように、全国の自治体それぞれに独自でリノベーションを対象とした補助金を支給しています。支援分類も多種多様で、耐震化やバリアフリー化、省エネルギー化、防災対策、環境対策などに分かれています。リノベーション工事の検討とあわせて、居住している自治体の窓口かリノベーション工事の見積を依頼している業者に確認してみるといいでしょう。住宅リフォーム推進協議会のサイト内にある「住宅リフォーム支援制度検索サイト」で検索してみるのもおすすめです。
リノベーション工事にともなう減税制度もあわせてチェック！
リノベーション工事の費用を抑えるには、政府や自治体の補助金を活用するのとあわせて減税制度も利用したいもの。どのような減税制度があるのでしょうか。
バリアフリー化や耐震化、省エネルギー化などのリノベーション工事を行った場合は、所得税と固定資産税について減税措置があります。所得税においては、適用要件を満たしたリノベーション工事を行ったと判断されれば、確定申告を翌年の春に行うことでその年に該当する所得税が控除されます。リフォームローンを利用したかどうか関係なく控除される投資型減税と、リフォームローンを利用した場合だけ適用になるローン型減税の2種類がありますので、該当する方を申告しましょう。リノベーション工事の内容によって控除額も異なりますから、リノベーション業者に確認しておきましょう。
固定資産税においては、リノベーション工事が終わってから3ヵ月以内に申告手続きをすれば翌年分の固定資産税を減額してもらえます。バリアフリー化や省エネルギー化など、工事の内容によって減税される金額は異なります。こちらも所得税とあわせて確認すれば忘れずに利用できます。
住宅全体にわたる工事範囲になることが多いだけに、工事費用も高くなりやすいリノベーション。補助金や減税といった公的な制度は、費用を抑えるための力強い味方です。面倒がらずにこまめにチェックし、上手に活用していきましょう。
