株式会社シンライズ　インタビュー

30年とされている日本の木造住宅の寿命を60年に延ばしたい。社員には日本の住宅、地球温暖化の「救世主」という立ち位置で仕事をしていこうと伝えています。

「全ては信頼の為に。」という理念を掲げ、住まいの外装リフォーム「ガイソー」とリフォーム情報館の事業を展開するシンライズ。全国93店舗（2019年12月現在）が加盟するガイソーグループで4年連続塗料販売個人・店舗部門全国1位とトップセールスを誇るなど、スピーディーな営業対応と顧客のニーズを的確に叶える提案力には定評があります。代表取締役の安次嶺良氏に、環境保全など社会貢献も見据えた経営方針や今後の事業展開についてお聞きしました。

monocla株式会社 代表取締役

那須 岳志なす たけし

大手リフォーム会社の常務から転身！　「地域密着」を志して独立

どのようなきっかけで、創業されたのでしょうか。（那須）

創業は2004年9月です。20代後半で入社した大手リフォーム会社ではトップセールスマンに上り詰め、常務の役職も頂きました。しかし、34歳のときに「地域に密着して、すべての人に信頼される会社をつくりたい」、そして「もう少しスローペースで人生を楽しみたい」という思いを持って独立しました。
そうして独立したとはいえ、モチベーションづくり、仕事への厳しさ、結果を追求することの大切さを学ばせていただいたのは、すごく勉強になりました。そうした経験も、今のビジネスに生きています。

会社全体のリーダーの立場を降り、自分の道を歩み始めるまでには、相当なご決断が必要だったのではないかとお察しします。（那須）

20代前半の頃は大手寝具メーカーに勤め、建築業界に入る前からほぼ休みのない営業に従事してきました。さらに、前職場の役員として東京、埼玉にあるほとんどの店舗の指揮を執るようになって１、２年間、毎日のように勉強会と深夜までの仕事が続いて病気も患い、かなり体力の限界を感じたのです。
そうした事情は、当時お世話になっていた勤め先の社長にも話しました。その社長とは今も、長いお付き合いをさせていただいています。これからも信頼関係を大切にして、人を裏切ったり、後ろ指を差されたりするような仕事だけはしたくないと思っています。

日本の住宅、地球温暖化の「救世主」を自負

さまざまなご経験が生きていらっしゃる御社のビジネスの特徴をご説明ください。特に「ガイソー」について、お話をいただければと思います。（那須）

ガイソーは約７年前にできた日本外装リフォームネットワークというチームでして、大手に打ち勝つため「1社ではできなくても100社でならできることがある」というスローガンを掲げています。最大の特徴は、外装リフォーム専門店が集結していることで品ぞろえが豊富ということ。そして、地球環境を守るといった理念を持っていることです。
その理念に沿い、30年とされている日本の木造住宅の寿命を60年まで延ばしたいと考えています。まだ使えるものをすぐに捨てる生活を続けていれば、子や孫の時代に地球は壊れてしまうでしょう。
そうしたことを念頭に置き、社員には日本の住宅、地球温暖化の「救世主」の立ち位置で仕事をしていこうと伝えています。住宅の災害復旧や空き家問題を含め、さまざまな社会問題に取り組むことができるのがリフォーム業界なのです。

スピード重視の営業力！　ヒアリング力、提案力も鍛え抜く

全国的なネットワークの中で、御社がトップの受注実績を上げている理由を教えてください。（那須）

安次嶺

創業から約1年経ったときより、時代の流れに合わせて2005年から反響営業に切り替えました。反響営業はチラシやショールームを見て問い合わせが来るという流れで、お客様は相見積もりを取るのが当たり前。どうしても価格の安い方へと行きがちですが、価格だけで判断されないように差別化を図るため、先ほど申し上げた理念をお客様にしっかり伝えることで納得していただいています。
理念にまで共感していただいているから、お客様がお客様を呼んでくれていると思っています。事実、われわれが全国的に知られているのは、近隣営業が得意な会社であるということです。1軒施工したら同じ地域で3軒、4軒と広がっている状況は強みかもしれません。
もちろん、それには提案力も必要ですが、われわれには理念営業の経験で、お客様に納得していただくためのノウハウを培ったという強みもあります。営業マンは未経験者が多いのですが、ポイントさえ教えれば即戦力になります。長男（安次嶺陽氏）が営業で好成績を上げたことで若手を採用し始めてからは成長率も高まり、2020年は初めて新卒者を採用しました。

その反響営業が成功している具体的なポイントは、どんなところにあるのでしょう。（那須）

チラシやショールームのつくり方など反響営業のノウハウは大手コンサルティング会社に協力を仰いで確立しました。近隣営業に強みを持つこともあり、チラシの反響、集客力は相当高いと自負しています。そうして届く反響に対して営業マンがしなければならないのは、お客様との信頼関係を生むということ。他社がやらないようなこと、言わないようなことを積み重ねれば、いざ契約をお願いしたときにわれわれに決めてくれます。
例えば、お客様の家でスリッパを出されたら、建築業界の多くの人は「すいません」と言いながら借りるでしょう。しかし、われわれは「自分で持って来ていますから」とお断りします。そうした部分も、お客様はしっかり見ていると思います。

お客様とのコミュニケーションで、常に気を付けていることはございますか。（那須）

お客様が一番求めているのは、やはりスピードだと思っています。事務の受付に始まり、営業マンからの連絡、現場調査、商談のレスポンスの早さです。相見積もりの場合、多くのリフォーム会社などは他社の出方を見てから最後に見積もりを出そうとします。しかし、われわれは営業力を鍛え抜き、常にトップで行きます。
スピードの次に大切にしているのは、お客さんの心をくみ取れるヒアリング力と提案力です。われわれの営業マンは新人もベテランも、住まいに関する20項目ほどの質問を並べた問診票をお客様にお渡しし、必ず記入していただいています。
問診票を基に住まいを診断するハウスドクターとして世界一のヒアリング力を発揮できなければ、その先の提案力も見積もり作成力も期待できません。リフォーム営業の仕事は完成品を売るのではなく、クリエイター。お客様がどういうものをつくり上げたいのか、お聞ききしたことをしっかりくみ取ることが重要です。

事業分散化を推進　将来はWEB事業の展開も視野に

今後の事業展開の構想について、どのようにお考えでしょうか。（那須）

働き方改革などもそうですが、経営者にとって予測しづらい、大変な時代が来ると感じています。そうした状況を前提としたとき、やっておかなければならないのはリスク分散です。事業の柱を1つだけではなく２つ、３つに分け、分社化も必要になると思っています。
もちろん、建築・リフォームは事業の柱ですが、人口が減る中で外装工事のニーズは減り、1件のアポイントメントを取るためのコストが上がっていくのは間違いありません。そこで、内装にも力を入れようとキッチン・お風呂専門店を立ち上げました。今後はWEBやチラシの作成を通じ、かねて夢だった取次店、代理店をつくっていきたいと考えています。
もう１つ考えているのは、3年ほど前から私自身が取り組んでいるコンサルタント業務の充実です。自分が培ってきた経験などが、長年お世話になっている建築・リフォーム業の経営者の助けになれば幸いです。さらなる事業分散化としては、WEB事業も何か仕掛けたいと思っています。

最後になりますが、ｍonocla社のサービスに対する期待がございましたら、お聞かせください。（那須）

集客に期待しています。若い営業マンたちを積極的にバッターボックスに立たせてあげるためにはポータルサイトの反応がすごく大事ですが、広告費をかけても集客が伸びないのが悩みです。その点、新たな媒体であるmonoclaは実際の施工事例を見てから希望のリフォーム会社を選べるという、逆算方式を取り入れていることに注目しています。
ポータルサイトから活発に商談を展開できるようになれば、新人の営業マンの成約率も良くなってくるはずです。セールスに必要な話術はきちんと教えているので、アクセス数などサイトの実績をなるべく早く増やしていただき、多くのアポイントメントをもらえるようになれば、ありがたいと思っています。