知っておくべき地震や台風への対応 暮らしを守る防災リフォーム・リノベーション

東日本大震災をはじめとする大地震や集中豪雨、台風など、全国各地で想像を超える規模の自然災害が多発しています。いつ、どんな形で襲って来るか分からない災害は、家屋にも甚大な被害をもたらす可能性があります。家財のみならず、自身と家族の命も守れる住まいづくりには、防災の視点に立ったリフォーム・リノベーションが効果を発揮します。

全国各地で多発する大規模災害

2019年9月に首都圏に上陸した過去最強クラスの台風15号は、1都7県の住宅4万棟超に被害をもたらしました。千葉県内ではピーク時で約64万戸が停電に見舞われました。
大規模な河川の氾濫が続発した同年10月の台風19号でも、全国で最大約52万戸の停電が発生しました。

2018年9月の北海道胆振東部地震は、道内で初めて観測された最大震度7の激しい揺れもさることながら、北海道のほぼ全域に当たる約295万戸が停電する異常事態を引き起こしました。前代未聞のブラックアウトが住民生活に大打撃を与えたのは言うまでもありません。

大地震では「建物の損壊」が心配

大規模災害が相次いでいる状況は、住まいに関する人々の意識にも影響を及ぼしているようです。住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が2019年5月に公表した住宅市場動向調査によると、「建物の性能で重視するポイント」は住宅事業者、一般消費者の双方とも「耐震性」を挙げる人が2番目に多い結果となりました。

内閣府が実施した防災に関する世論調査(2017年11月)でも、災害被害の具体的イメージのうち最多の81%を占めたのは「地震」です。さらに、「大地震が起こった場合に心配なこと」の第1位は「建物の損壊」(72.8%)でした。

国土交通省によると、住宅の耐震化の進捗状況は2013年に約82%(推計値)でしたが、2020年の推計値目標は95%に引き上げられています。国は2025年までに、耐震性のない住宅ストックの比率をおおむね解消するとしています。

建築年で変わる耐震基準

住宅の耐震基準は1981年と2000年、建築基準法の改正で大きく見直された経緯があります。つまり「1981年以前」「1981年から2000年」「2001年以降」の住宅は、そもそもの耐震性能に大きな差があるのです。このことから、2000年以前に建設された物件は耐震性能を引き上げる防災リフォーム・リノベーションが必須であると言えます。

「耐震」「制震」で家屋の構造を強化

耐震性能を高める防災リフォーム・リノベーションは、大きく分けて2つの方法があります。まずは、地震の揺れに対する家屋の強度を高める「耐震構造の強化」。もう1つは、地震の揺れを分散・吸収して和らげる「制震構造の強化」です。

耐震構造を強化する手段には、腐食などが見られる柱や梁、土台などの補強・交換、これらを接続する金具の追加や補強・交換があります。耐震基準に達していない無筋基礎などの補強、耐震壁の補強・追加なども効果的です。
木造住宅の耐震壁もチェックする必要があります。耐震壁は地震の強い揺れを何度も受けているうちに強度が落ちていく傾向にあるため、適切なタイミングでの追加・補強が重要になってきます。

一方、制震構造を強化する手段は、木造住宅の要所に制震ダンパーを組み込むのが主です。建物の柱の間など効果が見込める場所に装置を取り付けて建物を揺れにくくすることで、家屋にかかるダメージを最小限に抑えます。

制震ダンパーは地震のエネルギーを建物になるべく伝えないようにする働きを持つため、特に2階の上階の揺れを少なくすることにつながります。これにより、地震発生時に家の中で転倒したり、大型家具が倒れたりするリスクを軽減できます。

当然ながら、耐震住宅に制震装置を組み合わせることも可能です。住まいの構造や材質、地盤などを考慮しながら対処すると良いでしょう。

あらゆる防災に効果的なリフォーム・リノベーション

また、先述した台風、地震災害で、住民生活を直撃したのが停電です。言うまでもなく、多くの人の仕事や生活は電気なしでは成り立ちません。エアコンや扇風機が欠かせない真夏、あるいは暖房がなくてはならない真冬の停電は命を脅かす危険さえあります。

太陽光発電システムや蓄電池で電源確保

北海道で起こったブラックアウトなどを機に改めて注目されているのが、家庭用の太陽光発電システムです。もともとは電力会社への売電収入を当て込んで導入する家庭が増えました。2009年に48円/kwhだった売電価格は10年後の2019年に24円/kwhと半減してしまいましたが、大規模災害時には必ずと言っていいほど停電も発生する中で、太陽光発電システムは非常用電源としての役割が見直されています。

さらに、家庭用として近年普及しているのが蓄電池です。文字通り電気を蓄えておける装置で、太陽光発電システムと組み合わせて使うこともできます。太陽光発電システムと同様、性能向上や低価格化も進んでいますので、万一に備えて導入を検討してみるのもいいでしょう。

強風時は窓ガラスを守る

このほか、住まいの設備で防災に効果的なのは、台風や竜巻などの強風時に窓ガラスの損壊を防ぐシャッターです。強風で舞い上がった飛来物が窓ガラスに衝突すれば割れてしまう危険があります。

ガラスが割れた窓から室内に猛烈な勢いで空気が吹き込むと内圧が急上昇し、最悪の場合は屋根が押し上げられて吹き飛んでしまうことにもなりかねません。窓を全面的にふさいでおけるシャッターは、防犯面でも有効です。

また、仮に窓ガラスが割れてしまった場合でも、ガラス破片が小さく、ほとんど飛散しない防災安全ガラスも商品化されています。そもそも割れにくいため防犯効果があり、防音性能にも優れています。

生活用水を貯めておける設備も

停電と同様、災害時に発生が予想されるのが断水です。備えとしては、日頃から水を貯めておくのが効果的です。自宅の敷地や床下などに設置する水道配管内タンクは、飲料水としても使えるので便利です。水道管に直結するため、常に新鮮な水が蓄えられます。

飲料水にはなりませんが、雨水を保存できる雨水タンク、料金単価が低い深夜電力で沸かしたお湯を給湯器内部のタンクに貯めておけるエコキュートなどもあります。

防火性能も高められる

自然災害以上に発生している災害が火災です。消防庁の統計によると、2018年の総出火件数は3万8,791件でした。建物火災に占める住宅火災の件数の割合は53.1%ですが、死者数の割合は89.7%にも上っています。

住まいの防火性能もリフォーム・リノベーションで高めることができます。火災の恐ろしさは、自宅でいくら火の元に注意しても、隣近所から出火すれば延焼の危険にさらされてしまうことです。室内の素材だけではなく、屋根や外壁、窓、玄関の防火性能を検証する必要があります。

意外に盲点となりやすいのは、外壁などと比べて目につきにくい軒裏の建材です。2007年10月には大手メーカーによる耐火性能の偽装問題も発覚しましたが、すでに膨大な数の製品が出回っていたことから交換が見落とされている可能性もあります。

住まいの防災力チェックを

防災リフォーム・リノベーションは、かけがえのない住まいの防災力を隅々までチェックする好機にもなります。国や自治体などの補助金・助成金も用意されているので、こうした制度を上手に活用すれば少ない手持ち資金で大きな効果を得られるでしょう。

被災してしまった後に住宅の損壊部分を修繕しようと思っても、業者が多忙で速やかに対応できず、日常生活への支障が長期に及んでしまう可能性もあります。建物の弱点を克服するリフォーム・リノベーションで被害を防げるのであれば、あらかじめ手を打っておくのが賢明です。

おわりに

リフォーム・リノベーションと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、住まいの外観や内装のデザイン、あるいは間取りや設備の使い勝手などを改善することかもしれません。しかし、これまで見てきたように、災害への備えを強化するという側面でも大きな役割を果たせるのです。

どんなにおしゃれで快適な住まいも、災害に弱ければ魅力は半減してしまいます。安全・安心な暮らしを実現する防災リフォーム・リノベーションに、ぜひ目を向けてみましょう。

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