自宅のあちこちが劣化してきたり、新築時から生活環境が変化して住み心地が悪くなってきたら、リノベーションを検討する時期です。特に住み心地を左右するのは間取り。「こうなったらいいのに」という不満点をリノベーションによる間取り変更で解消すれば、自宅の快適性はぐんとアップします。
理想の間取りをリノベーションで実現する場合、押さえておきたいポイントがいくつかあります。そこで今回は、リノベーションをする際に理想の間取りを上手に決めていく方法についてご紹介します。
まずは家族の意見をまとめることから
間取りを考えるというと、間取りの実例集を見たりインターネットで検索したりしがちです。しかしもっとも大切なことは「自分たち家族が住みやすい間取りを作る」ということですから、家族全員の意見を出し合ってまとめていく作業が不可欠です。
この作業をスムーズに進めるポイントは2つです。
家族全員の要望をすべて書き出す
家族一人一人、理想の間取りはおそらく違います。リビングひとつとっても「とにかく広いのがいい」のか、「面積は広くなくてもいいから天井を高くしたい」のか、「ダイニングとは区切りたい」のかなどいろんな考えがあるはず。家族の数だけ意見が出るのはむしろ自然なことですから、まずはすべて書き出しましょう。
家族それぞれに箇条書きで書き出して、すべて出そろったら似たような内容の要望をまとめていきます。まとめ終わったら、すべての要望の優先順位を家族で話し合いながらつけていきます。きれいにまとめる必要はありませんし、優先順位がほぼ同時という要望があれば同順位のままでかまいません。こうやって出そろった要望を見て実際に間取りプランに落とし込んでいくのはプロである設計士の仕事。要望をすべて出してしまうことに集中しましょう。
考えすぎない
要望を出している際に「こんなことできないんじゃないかな」「こうしたいけど多分無理」といった考えがよぎることは少なくありません。しかし先ほども言ったように、出された要望をさまざまな条件と照らし合わせながら間取りプランとして形にしていくのは設計士がやりますから、「できないかもしれない」と引っ込めるのではなく「できないかもしれないけどもしできるなら」という考えをもって出しましょう。間取りとして形になるかどうかは、要望出しの段階ではなく、出された間取りプランを検討しながら決めていけばOKです。
ライフスタイルに合わせて考えよう
理想の間取りを考える上で大切なのは、ライフスタイルと間取りが合致しているかどうかです。自宅でどのように暮らしたいのかによって、重視すべきポイントも変わってきます。
たとえば子育て世代の場合、子供の世話をしながら料理や洗濯などの家事をするという動きを日々繰り返すことになります。となると、キッチンと洗面室、浴室がダイレクトに移動できるよう一列に並んだ間取りや、廊下から洗面室に入りさらにキッチンへ移動できてまた廊下に出られるといった回遊性のある間取りが適していることになります。
※回遊性のある家とは、生活動線が円を描くようにスムーズに導かれる間取りとなっているもののことを指します。
お年寄りがいる場合は、介護の有無によって過ごしやすい間取りは異なります。まだ介護が必要なくて自分で移動できるのなら、夜間起きてもすぐ自分でトイレに行けるように、お年寄りの個室とトイレが近い間取りがおすすめ。車いすだったり介護が必要な状態なら、トイレと洗面脱衣室と浴室は近い範囲にまとめた間取りがいいでしょう。
家族がこの家でストレスなく暮らせることをイメージしながら、適した間取りを考えていく必要があります。
収納スペースは生活動線と重ねよう
間取り変更を希望する理由のひとつとして多いのが、「収納スペースを増やしたい」というもの。物理的に広くするという方法ももちろんありますが、収納スペースの位置が使いづらくてうまく使えていないだけという場合も珍しくありません。間取り変更をするなら、収納スペースは生活動線とリンクさせることを考えましょう。
たとえば洗面室の一角に小さな家事スペースを設けて上部にハンガーパイプを設置すれば、アイロンが必要なシャツやブラウスはアイロンをかけたらそのままハンガーに吊るして収納するだけ。家事動線が短くなると同時に、寝室の収納スペースには別の物が収納できます。また、階段下や柱の出っ張り部分など、デッドスペースとなりがちな所を有効利用するのも有効です。収納スペースは広げるというよりも確保するという考え方がおすすめです。
「どこに収納スペースがあると便利なのか」をよく考えて配置しましょう。
まとめ
新築時から年数が経つと、ライフスタイルや家族構成の変化によって間取りに使いづらさを感じやすくなるものです。家事や介護がしやすい、家具がレイアウトしやすい、収納スペースが使いやすいなど、間取りの理想のポイントは家庭によってちがいますから、家族の意見をうまくミックスさせながら理想の間取りをぜひリノベーションで実現させてくださいね。
