日本の住宅の外観にそれぞれ個性があるように、住宅の外壁に使われる「外壁材」には、見た目はもちろん、機能性や価格帯、メンテナンス周期などが異なります。
屋根と並び、雨風から住宅を守る外壁は、デザインや価格だけでなく、さまざまな機能を比較しながら、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
今回は、日本の住宅で多く使われている4種類の外壁材について解説します。
代表的な外壁材
現在、日本の住宅に多く使われている外壁材は、以下の4種類です。
- モルタル
- サイディング
- タイル
- ALC
外壁のリフォームを検討する際は、価格帯はもちろん、その特徴やメリット・デメリットを理解し、理想とする住まいに必要な外壁材を選ぶことが重要です。
以前の日本で最も使われていた「モルタル」
価格帯:1,500~4,000円/平米
メンテナンス周期:5~10年
モルタルは、砂とセメントを水で混ぜ合わせて作られており、1980年代までは日本の住宅の外壁にもっとも多く採用されていました。
現在はサイディングにトップを譲る形にはなっているものの、デザイン性とコストパフォーマンスの高さから、根強い人気を誇る外壁材です。
モルタルのメリット
モルタルは職人が手作業で外壁に塗装していくため、他の外壁材に比べてデザインの自由度が高く、温かみのある仕上がりにすることができます。
また、成分にセメントが含まれるため、耐火性、耐震性、耐久性の高さも十分にあります。
モルタルのデメリット
モルタルの最大の弱点は「ひび割れ」です。ひび割れが起こると雨水が侵入して、雨漏りや構造部分の腐食を招きます。
モルタルの耐用年数は30年以上と言われていますが、定期的なメンテナンスで劣化を防ぐ必要があります。
現在の日本でもっとも使われている「サイディング」
価格帯:3,500~5,000円/平米
メンテナンス周期:7~8年
サイディングには「窯業系サイディング」「金属系サイディング」「樹脂系サイディング」などの種類がありますが、現在の日本住宅の外壁材としてもっとも多く採用されているのは、窯業系サイディングです。
サイディングのメリット
サイディングは板状の外壁材をはめ込んでいくため、施工が簡単にできるうえに、耐火性や遮音性、耐震性といった機能性の高さもあり、コストパフォーマンスに優れています。
また、窯業系サイディングは、レンガ調やタイル調など、好みに合わせてデザインが変えられる化粧サイディングの種類も豊富です。
サイディングのデメリット
サイディングとサイディングの継ぎ目にはコーキング剤が使用されます。コーキング剤は5~10年で亀裂や摩耗といった劣化が現れるため、定期的な改修が必要となります。
高い耐久性と独特の重厚感が特徴の「タイル」
価格帯:7,000~9,000円/平米
メンテナンス周期:10~15年
タイルは、日本住宅の外壁のシェアではモルタルやサイディングに及ばないものの、独特な重厚感や高級感、メンテナンスがほとんど不要な耐久性の高さで、他の外壁材にはない魅力があります。
タイルのメリット
タイルの最大の魅力は、他の外壁材ではなかなか出せない高級感・重厚感です。
最近ではデザインのバリエーションも豊富にあり、クラシック、モダン、ナチュラルなど、好みのデザインを実現できるようになっています。
さらに、タイルはそれ自体が非常に硬く、経年劣化もほとんどない「メンテナンスフリー」であるという点も、大きなメリットです。
タイルのデメリット
タイルの大きなデメリットとして挙げられるのが、初期費用の高さです。材料や施工業者によっては、サイディングの2倍以上のコストがかかる場合もあります。
費用の高さの次に注意すべきことが、タイルは地震の揺れに弱いという点です。
タイルの下地材として使われているモルタルは弾力性に欠け、地震の揺れを吸収しにくいため、タイルの剥離や破損につながります。
耐熱性・耐火性に優れる「ALC」
価格帯:7,000~15,000円/平米
メンテナンス周期:10~15年
ALCは「軽量気泡コンクリート建材」とも呼ばれ、軽さと強度、断熱性を兼ね備え、商業ビルや公共施設など、現代建築には欠かせない外壁材です。
サイディングのように板状のパネルをはめ込んで施工します。
ALCのメリット
ALCは、内部に組み込まれている鉄筋マットやスチール網で補強されているため、耐久性、耐熱性、耐火性、耐震性が強く、多孔構造により断熱性にも優れています。
ALCのデメリット
ALCは多孔構造なので、それ自体には防水性がほとんどなく、仕上げ材によって防水性をもたせる必要があります。
防水性の弱さゆえに、サイディングよりもパネル1つあたりのサイズが小さいため、継ぎ目のシーリングをしっかり行わないと、雨漏りのリスクが高まります。
まとめ
日本の住宅に使用されている4種類の外壁材について解説しました。
新築を建てる場合や外壁をリフォームする場合は、それぞれの外壁材の価格帯、メリット、デメリット、メンテナンス周期などを確認して、自分に合ったものを選びましょう。