バリアフリーリフォームには、手すりの設置からトイレや浴室をまるごとリフォームするといったものまで、さまざまな事例があります。今回はマンションのバリアフリーリフォームのよくある事例と費用相場、またリフォームの費用負担を軽減する補助金制度について解説します。
「マンションの玄関や廊下を歩くのが大変」「マンションの浴室が古くて寒い」といったお悩みを抱えている方は、バリアフリーリフォームを検討する時期かもしれません。
戸建てもマンションもバリアフリーリフォームに大きな違いはなく、手すりの設置といった手軽なものから、トイレや浴室をまるごとリフォームするといった大がかりなものまで幅広い事例があります。
今回はマンションのバリアフリーリフォームのよくある事例と費用相場、またリフォームの費用負担を軽減する補助金制度について解説します。
マンションのバリアフリーリフォームの費用相場
マンションのバリアフリーリフォームでよくある事例と、その費用相場について解説します。
玄関・廊下・階段などに手すりの設置
工事内容 | 費用の相場 |
玄関に手すりを設置 | 2万円~4万円 |
廊下に手すりを設置 | 4万円~7万円 |
階段に手すりを設置 | 4万円~10万円 |
玄関や廊下、階段などの移動を楽に、安全にするために手すりを設置するリフォームです。
手すり本体の価格や設置する場所、手すりの長さによって費用が変動します。
1ヶ所であれば1日以内に終わりますが、室内の複数ヶ所に設置する場合は3日ほど見ておきましょう。
トイレのバリアフリーリフォーム
工事内容 | 費用の相場 |
開き扉を引き戸に交換 | 4万円~10万円 |
和式便器を洋式便器に交換 | 25万円~40万円 |
温水洗浄便座の設置 | 2万円~10万円 |
トイレのスペースを拡張 | 20万円~40万円 |
手すりの設置 | 2万円~5万円 |
毎日使用するトイレがバリアフリーに対応していないと、用を足すのも一苦労です。将来的に車いすや介助が必要になった場合のことを考え、トイレを全面的にリフォームされる方も少なくありません。
トイレのバリアフリーリフォームには、「手すりを設置する」のほか、「開き扉を引き戸に交換する」「車いすでも入れるよう拡張する」「和式便器を洋式便器に交換する」などが挙げられます。
浴室のバリアフリーリフォーム
工事内容 | 費用の相場 |
開き扉を引き戸や折戸に交換 | 3万円~10万円 |
断熱性能付きのユニットバスへ交換 | 65万円~150万円 |
浴室暖房の設置 | 13万円~20万円 |
滑り防止機能付きの床に交換 | 4万円~10万円 |
手すりの設置 | 0.5万円~5万円(ユニットバスのオプションの場合0.4万円~) |
浴室全体のバリアフリーリフォームとしては、タイル張りの在来工法の浴室を断熱性能付きユニットバスへ交換する事例が多いです。
とくに冬場の浴室は、「ヒートショック」により脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるため、急激な温度差の対策として、ユニットバスへの交換や浴室暖房の設置をおすすめします。
ほかにも、浴室から上がりやすいように手すりを設置したり、滑りやすい浴室の床を滑り防止機能つきの素材に替えたりするリフォームがあります。
バリアフリーのリフォームは補助金制度が利用できる
介護を目的としたリフォームや、高齢者・障がい者の方がお住まいの住宅のリフォームは、介護保険や自治体の補助金といった支援制度を活用できる場合があります。
介護保険を活用してリフォーム
介護を目的としたリフォームは、介護保険の補助が受けられます。支給要件はリフォームを行う方が「要介護」、あるいは「要支援」の認定を受けていることです。
20万円を対象限度額の上限として、工事にかかった費用の7~9割の金額が支給されるため、給付される金額は最大18万円までとなります。
介護保険で補助の対象となるバリアフリーリフォームは、以下のとおりです。
- 手すりの設置
- 床の段差解消
- 床材の変更(すべりにくい材質にしたり、畳をフローリングに張り替えたりする)
- 開き扉を引き戸や折戸に交換
- 和式便器を洋式便器に交換
補助金の申請に関することや、補助対象となるリフォームのことは、自治体の窓口や担当ケアマネジャー、介護保険に詳しいリフォーム業者などに問い合わせましょう。
自治体の補助金・助成金制度を活用してリフォーム
お住まいの市区町村によっては、介護を目的としたリフォームを補助金の対象としているところもあります。介護保険制度の補助金制度と併用が可能です。
たとえば、横浜市の介護保険外サービス「高齢者等住環境整備事業」は、事前相談で必要性が確認できた費用の一部について、上限100万円までの助成金が支給されます。
自治体の補助金・助成金制度を活用する場合は、必ず事前の相談が必要となるため、まずは相談窓口に問い合わせましょう。
まとめ
バリアフリーリフォームで住まいの安全性を確保するためにも、しっかりと業者選びをしましょう。
業者選びのポイントは、「バリアフリーリフォームの実績が豊富かどうか」です。
また、介護福祉施設の施工経験が豊富な事業者は、介護保険制度や自治体の補助金・助成金制度に精通しています。「どうすれば補助金を受給できるか」や、「申請の手続きの方法を知りたい」といった相談を受け付けてくれるでしょう。