日本では、住宅を購入するというと新築住宅が対象となる傾向が強いですが、最近は良質な中古住宅も多いことから中古住宅を購入するケースも増えてきました。特に、築年数が経っていてもリノベーションによる全面改装をしてある住宅は注目されやすいと言えます。
リノベーション済みの中古住宅を購入しようか検討する場合には、新築住宅とはまた違うポイントをチェックする必要があります。そこでこの記事では、リノベーション済みの物件を購入するメリットとデメリット、購入を検討する際のポイントについて紹介していきます。
リノベーション済みの物件とは？
リノベーションとは、柱や屋根、基礎などの構造部分を残して室内部分をすべて解体し、新たな間取りや住宅設備を取り入れる工事をさします。築年数が経っている中古住宅に行うことが多く、構造部分が経年劣化している場合は補修も行います。部分的な補修だけを行うリフォームとは違って一から室内部分を作り上げるため、使いやすい間取りやおしゃれな内装デザインを取り入れられます。
リノベーションを行った物件は、まだ活用できる既存部分を上手に活用しながら最新の間取りや住宅設備を導入するため、利便性や快適性だけでなく新築住宅にはない味わいもあわせて楽しめる物件と言えるでしょう。
リノベーション済みの物件を購入するメリットは？
一般的な中古物件は、経年劣化の補修をしないまま売却されますから、購入者が入居前までに補修を行わなければなりません。たとえば築年数は経っているけれど物件の立地がよく金額も安かったので購入したという場合、経年劣化を補修する工事は自分で別途依頼する必要があります。ライフスタイルや家族構成に間取りや住宅設備の機能がそぐわないなら、リノベーション工事で全面的に手直しすることになる可能性もあり、物件の購入金額に加えてリノベーション工事の費用がかかることになります。
リノベーション済みの物件は、すでに使いやすい間取りや新しい住宅設備が取り入れられていますから、購入者が新たにリノベーション工事を行う必要がありません。物件の購入費用にリノベーション工事の費用が含まれているため、住宅ローンでカバーすることができて支払い計画が立てやすいと言えるでしょう。
リノベーション済みの物件を購入するデメリットは？
一方、リノベーション済みの物件を購入するにはデメリットもあります。リノベーションによって新しい間取りや住宅設備が取り入れられているとしても、購入者の希望にすべて合うとは限りません。購入者自身がリノベーションを行うケースと比べると、妥協しなければいけない部分がどうしても出てきます。
また、購入前にリノベーションが完了しているということは、工事の様子を確認できないということでもあります。構造部分の劣化がどの程度で、どのような補修をしてあるのか、こういったことは購入者には分かりません。表面的にはきれいになっていても、構造部分や配管・配線部分などの隠れたところに不具合が隠れている可能性はゼロではないことを、購入時に念頭に置いておく必要があります。
リノベーション済み物件の購入を検討する際のポイントは？
リノベーション済み物件の購入を検討する際には、どのような点に注意したらいいのでしょうか。ポイントをまとめてみました。
工事履歴の資料の有無
リノベーション済み物件の場合、通常は工事の履歴に関する資料が残っています。工事内容や工事箇所、建材や内装材・住宅設備などの仕様、何度か工事が行われているなら履歴などが分かるようになっています。図面や仕様書、住宅診断の診断書など、リノベーション工事の内容や履歴が分かる資料があるかどうかは、今後入居して定期的なメンテナンスを行う上でも重要なことですから、必ず資料の有無を確認しましょう。
住宅の機能性のレベル
住宅設備の交換や内装の補修など部分的な工事であるリフォーム工事とは違って、リノベーション工事は住宅内部を全面的に新しくするものです。構造部分だけを残して室内部分は解体しますから、断熱性や防音性といった住宅本体の機能を簡単に追加することができます。リノベーション済み物件といってもさまざまな物件があり、こうした機能まで考慮して工事してあるかどうかを購入検討時にしっかりチェックすることが大切です。たとえば間取りの変更によって壁量が減ったことで、隣室の音が響きやすくなったといったケースもありますから、内覧時にチェックできる点はしっかりチェックしましょう。
立地や周辺環境
リノベーション工事によって住宅本体は使いやすく見映えのいい状態になっていたとしても、立地や周辺環境が希望に合わなければ入居後に生活しにくくなる可能性が高いです。駅や学校が遠くて通勤や通学に時間がかかる、隣に高いマンションがあって日当たりが悪いなど自分ではどうしようもない条件の立地や周辺環境だと、たとえリノベーション済みで予算内で購入できる物件だとしても日常生活でさまざまな問題が起こりやすいからです。もし購入した場合どういった生活になるのか、一日の流れをシミュレーションしてみるといいでしょう。
リノベーション済み物件の購入は、メリットとデメリットの両方があります。購入した場合どちらがより大きいのか、検討対象の物件の条件をしっかりチェックした上で判断するようにしましょう。
