天井の構造8種類それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。天井を一般的な平天井とは異なる構造にすることで、お家の印象は大きく変わります。注文住宅の購入や天井のリフォーム・リノベーションをご検討中の方は、ぜひご参考になさってください。
「天井を高く、広くしたい」「間接照明を取り入れておしゃれにしたい」など、理想の天井へのこだわりはありませんか?
住宅の天井にはさまざまな形状や特徴があり、その家を印象づける大切な要素です。天井を高くする、あるいは通常の平天井とは異なる構造にすることで、お家の印象はガラリと変わります。
今回は天井の構造8種類のメリット・デメリットをご紹介します。
天井の8種類をまとめて比較
まずは、今回ご紹介する8種類の天井の特徴や、工事費用について解説します。
天井の種類 | 特徴 | 費用の目安 |
平天井 | 多くの住宅で採用されている通常の水平な天井 | - |
勾配天井 | 屋根の形状に合わせて傾斜をつけた天井 | 1万円~2万円/㎡ |
折り下げ天井 | 天井の一部が他よりも一段低い天井 | 1万2,000円/㎡ |
折り上げ天井 | 天井の一部が他よりも一段高い天井 | 1万2,000円/㎡ |
舟底天井 | 天井の端から中央部分にかけて高くなっている | 要見積もり |
掛込み天井 | 天井の一部が低く平らで、一部が斜めになっている | 要見積もり |
スケルトン天井 | 躯体(スケルトン)がむき出しの天井 | 3万円~5万円/㎡ |
吹き抜け | 下階の天井と上階の床を抜いた状態 | 100万円~500万円 |
工事費用はあくまでも目安です。建物の構造や、注文住宅のオプションか既存住宅のリノベーションかによっても異なります。
天井のリフォームやリノベーションは高額な費用がかかるため、必ず専門業者に見積もりを依頼しましょう。
次章からは、それぞれの天井のメリットやデメリットについて詳しく解説していきます。
平天井
平天井は、水平に設置された通常の天井です。
特筆すべきメリットやデメリットはありませんが、天井高によっては圧迫感を感じる場合があります。
天井高が低い場合は勾配天井や折り上げ天井にすることで、空間の圧迫感を解消できます。
勾配天井
勾配天井は、屋根の形状に合わせて傾斜をつけた天井です。平屋や2階にリビングがある家でよく採用されます。
勾配天井のメリット
勾配天井の最大のメリットは、高額な工事費用をかけずに広々とした空間づくりができることです。
住宅密集地で日当たりに問題がある家でも、勾配天井にして高窓をつけると空間全体が明るくなります。
勾配を付けた部分に壁よりも明るめのクロスを張れば、空間の広がりがわかりやすくなり、より開放的に感じられるでしょう。
勾配天井のデメリット
勾配天井の最大のデメリットは、天井の高い部分にある照明や窓のメンテナンスに費用がかかることです。
たとえば照明の電球の取り替えが必要なときは、脚立を使って注意しながら交換するか、専門業者に依頼することになります。
また手が届かない位置にある高所の窓は、電動カーテンを付ける場合があります。万が一、電動カーテンが故障した場合は、専門業者に対処してもらうしかありません。
このようにメンテナンスコストがかかることも考慮して、勾配天井にするかどうかを検討しましょう。
折り下げ天井
折り下げ天井は、天井の一部を他よりも一段低くした天井のことです。
おもにキッチンの天井に採用されるケースが多く見られます。マンションでは天井の梁やダクトのパイプを隠すために、折り下げ天井が採用される場合があります。
折り下げ天井のメリット
折り下げ天井には空間を広く見せる効果があります。
リビング側から折り下げ天井のキッチンを見ると、部屋の広さは変わっていないのに奥行きが出て、空間全体に広がりを感じられます。
照明をダウンライトにすると、バーカウンターのようなオシャレな雰囲気も演出できるでしょう。
折り下げ天井のデメリット
折り下げ天井の部分は天井高が他の天井よりも低くなるため、圧迫感を感じる場合もあります。また天井に段差を付ける際に隙間ができるため、ホコリなどが溜まりやすくなります。
折り上げ天井
折り上げ天井は、天井の中央部分を周囲よりも一段高く凹ませた天井です。空間に奥行きを出すことができるため、リビングや玄関などに採用されるケースが多く見られます。
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折り上げ天井とは?メリット・デメリットや設置にかかる費用を解説
折り上げ天井のメリット
折り上げ天井の最大のメリットは、天井を一段高くして空間に広がりを持たせられることです。
狭い部屋の天井が低いと圧迫感がありますが、折り上げ天井にすることで広々として明るい部屋になります。
また照明やアクセントクロスを工夫すると、より開放感があってオシャレな空間を演出することができます。
折り上げ天井のデメリット
折り上げ天井のデメリットは、掃除がしづらいことです。
凹ませた部分にはホコリが溜まりやすく、角部分の掃除は手間がかかります。ダウンライトやシーリングファンなどが付いていれば、天井の掃除だけでかなりの時間を費やすことになるでしょう。
舟底天井
舟底天井は、天井の中央部分を両端よりも高くなるように勾配を付けた天井のことです。舟底をひっくり返したような形をしているため、この名前が付けられました。
舟底天井のメリット
舟底天井は天井を高くすることで空間を広く見せる効果があります。とくに和室との相性が良く、部屋全体に落ち着きのある雰囲気をもたらします。
舟底天井のデメリット
舟底天井では屋根裏を撤去するため、夏場には瓦が受けた熱がそのまま居室に伝わります。夏場でも快適に過ごすには、断熱効果のある屋根材を使うなどの工夫が必要です。
掛込み天井
掛込み天井は天井の一部が低く平らで、一部が斜めになっている天井です。和室のほか、廊下や縁側、玄関などに採用されます。
掛込み天井のメリット
掛込み天井は茶室や数寄屋風和室に採用され、低く狭い空間を広く見せる効果があります。
掛込み天井のデメリット
伝統的な天井の造りであるため工事費用が高く、施工できる業者も限られます。
スケルトン天井
スケルトン天井とは、石膏ボードを撤去して配管や配線、梁などがむき出しの状態の天井です。オフィスやスタジオの天井によく見られますが、デザイン性の高さから一般の住宅でもスケルトン天井が採用されています。
スケルトン天井のメリット
通常の天井よりも天井高が高いため、空間に開放感が生まれます。また本来は隠されている梁や配管をむき出しにすることで個性的な天井になり、スタイリッシュでおしゃれな雰囲気を演出できます。
スケルトン天井のデメリット
石膏ボードやクロスを解体して天井をむき出しにすることで、防音性の低下は避けられません。また断熱性が低下することで「夏は暑く、冬は寒い」空間になり、冷暖房効率も低下してしまいます。
工事費用がかさみますが、窓を二重窓やペアガラスにする、断熱性を高める屋根材を使うなどして対策が可能です。
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吹き抜け
吹き抜けは、1階の天井・2階の床に相当する部分をぶち抜いた空間を指します。一般住宅ではLDKやリビング、玄関に吹き抜けを採用するケースが多く見られます。
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吹き抜けのメリット
吹き抜けの最大のメリットは、天井高が高くなるため、床面積が狭くても広々として開放感のある空間になることです。
レストランやカフェで採用されることが多いように、照明や窓にこだわると高級感が増しておしゃれな空間を演出できます。
また開放的な空間にすることで、リビングやLDKには家族が集まりやすく、自然とコミュニケーションも円滑になります。
吹き抜けのデメリット
吹き抜けで1階の天井・2階の床に相当する部分が撤去されると、冷暖房効率の低下につながります。
シーリングファンやサーキュレーターを使うことで空気を循環させることはできますが、光熱費がかさむという問題も抱えてしまいます。
冷暖房効率を高め、光熱費の節約も兼ねたい場合は、外壁や床面を断熱性の高い素材に交換することをおすすめします。またカーテンを断熱効果のあるものに交換するだけでも、一定の効果が得られます。
一戸建ての天井の高さの目安とは
天井のリフォーム・リノベーションを検討するにあたり、一戸建ての天井の高さについて知っておきましょう。
一般的な住宅の標準的な天井高は2m20cm~2m40cmです。
天井高が低いと落ち着いた空間になりますが、部屋が狭いと圧迫感が生じます。また天井高を高くすると開放感が生まれますが、冷暖房効率の低下につながります。
以上のメリット・デメリットを踏まえ、理想の空間にあった天井の種類を選びましょう。
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まとめ
天井8つの種類それぞれのメリット・デメリットを解説しました。
こだわりの天井を住まいに取り入れるなら、天井の工事の実績が豊富な施工業者に相談することが大切です。住宅のプロに相談すれば、理想の住まいづくりを一緒に進めていくことができます。
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