ALCは定期的にメンテナンスを行えば、50年以上も長持ちする外壁材です。サイディングやモルタルからALCに張り替えするお家も増えています。今回の記事では、ALCのメリットやデメリット、家の外壁にALCを採用するときのポイントを解説します。

外壁材は家の印象を大きく変えるため、どれを選ぶか迷う方も多いのではないでしょうか?
ALCはメリットが多く、耐用年数も50年以上と非常に長いため、いま注目の外壁材です。
今回はALCの特徴や通常のコンクリートとの違い、失敗しないためのポイントを解説します。
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「ALC」とは何か?
ALCは、「Autoclaved Lightweight aerated Concreteオートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート」の略称です。
オートクレーブとは高温高圧多湿養生を意味し、ALCは工場でセメント等に発泡剤を混ぜ、高温高圧の状態で養生して多孔質化させて製造されます。
ALCは従来、鉄骨造の建物等の外壁や内壁、屋根あるいは床などに使われてきました。
近年は一般の戸建て住宅の外壁に、板状にしたALCパネルが使用されるケースが増えています。
外壁以外にも、鉄骨造・鉄筋コンクリート造のマンションの床・屋根・間仕切りに使用される場合もあります。
ALCとコンクリートの違い
ALCは軽量気泡コンクリートと呼ばれるように、水に浮くほど軽量で、コンクリートに比べると4分の1の重さです。
そのため建物への負担が軽く、地震の揺れに強いという性質があります。
また内部にある無数の気泡により、コンクリートよりも高い断熱性を発揮します。
外壁をALCに張り替えるリフォーム費用
外壁用のALCパネルの単価は、1㎡あたり5,500円が目安です。
外壁をALCにリフォームする場合、材料費に加え既存の外壁を剥がして撤去する費用、張り替えの費用などの人件費がかかります。
30坪ある住宅の外壁をALCに交換する場合、工期は1~2週間、工事費は150万円~250万円が相場と考えられます。
さらに、ALCは10~15年に1度の塗装メンテナンスが必要です。
30坪の住宅の塗装メンテナンスは、工期が約2週間、施工費は70万円~100万円が目安となるでしょう。
外壁をALCにするメリット
外壁にALCパネルを使用することで、以下のようなメリットが得られます。
・断熱性に優れるため夏や冬も過ごしやすい
・耐火性に優れるため火事に強い家になる
・耐久性に優れるため家が長持ちする
・遮音性に優れるため生活音が防げる
・工期が比較的短くて済む
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
断熱性に優れるため夏や冬も過ごしやすい
ALCパネルはコンクリートの10倍以上の断熱性があります。
内部にある無数の気泡が空気の層を作り、外部からの熱を絶つからです。
そのため季節による温度変化の影響が少なく、夏は涼しく冬は温かい家になります。
ALC外壁の家は夏場や冬場のエアコンの使用率が減り、電気代の節約も可能です。
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耐火性に優れるため火事に強い家になる
ALCはセメントなどの無機質が主原料となっているため、燃えにくく有害物質が発生しない外壁材です。
火事が発生しにくいだけでなく、近隣で火事が発生しても延焼を抑える機能があります。
耐火性に優れた性質から、ALCは国土交通省により耐火構造の認定を取得しています。
耐久性に優れるため家が長持ちする
ALC外壁の耐用年数は50~60年です。
もっとも一般的な外壁材である窯業系サイディングや金属系サイディングの耐用年数が20~30年ですので、ALCは非常に耐久性に優れることがわかります。
塗装やコーキングなどの定期的なメンテナンスを行えば、長く住み続けることができます。
遮音性に優れるため生活音が防げる
ALCに含まれる無数の気泡は音を吸収し、周囲に音が伝わりにくくなる性質を持っています。
そのため外からの騒音が住宅内に伝わるのを防ぎ、また室内からの生活音が外に漏れにくいというメリットがあります。
大通り沿いや線路沿いの住宅の外壁に最適なことはもちろん、生活音を気にせず、静かで暮らしやすい家にしたい人にもおすすめです。
工期が比較的短くて済む
先述したように、ALCは水に浮くほど軽量で、コンクリートの4分の1ほどの重さです。
家を建てるときや外壁の張り替えでの取り付け作業が楽になるため、工期が短くて済みます。
外壁をALCにするデメリット
外壁をALCにする場合、以下に挙げるデメリットについても把握しておきましょう。
・水を吸収しやすい
・接合部が多いためデザイン性に乏しい
・定期的なメンテナンスが必要(維持費がかかる)
・施工できる業者が限られる
・費用が高い
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
水を吸収しやすい
ALCは吸水性が高いため、長時間にわたって雨水にさらされると、内部の気泡に水が浸みこんでしまいます。
内部に侵入した水が真冬の氷点下に凍結すると、膨張して外壁がひび割れを起こすリスクがあります。
水に弱いことへの対策としては、防水性能の高い塗料を使いましょう。
シリコンやフッ素など耐用年数が15年以上あり、耐水性や耐候性に優れた塗料がおすすめです。
接合部が多いためデザイン性に乏しい
ALCパネルはサイディングボードに比べ、1枚のサイズが小さめです。
そのため住宅の外壁にALCパネルを使用すると、接合部の目地が目立ってデザイン性が落ちてしまいます。
また接合部が多いということは、目地の補修に必要なシーリング材の費用と手間がかかるということに他なりません。
定期的なメンテナンスが必要(維持費がかかる)
先述したように、ALCは水に弱く、継ぎ目が多いというデメリットがあります。
これらデメリットを解消するには定期的なメンテナンスが必要であり、そのための維持費もかかります。
ALCのコーキング工事および塗装をシリコン塗料で行った場合、一般的な30坪の戸建て住宅で100万円~150万円が目安です。
家の外壁にALCを採用する際は、張り替えの費用のみならず、メンテナンス費用も含めて検討しましょう。
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施工できる業者が限られる
ALCを外壁に採用している住宅は全体の1割未満とされており、張り替えできる業者が限られます。
サイディングの実績が豊富な業者でも、構造や性質の異なるALCではミスが起こる可能性があります。
そのため、外壁のリフォームを手掛ける業者の中でも、ALCの施工実績が豊富にあるかを見極めることが大切です。
費用が高い
ALCは施工できる業者が限られており、他の外壁材と比較して2倍以上の施工費用がかかる場合もあります。
ただし耐用年数が長いことや、高断熱や高遮音といったメリットもあるため、長い目で見ればコストダウンを図ることもできます。
ALC外壁はこんな家におすすめ!
先述したメリット・デメリットを踏まえ、こんなお家にしたい人にALC外壁をおすすめします。
家に長く住みたい人
ALCは定期的なメンテナンスを行えば、50年以上の耐用年数を誇る丈夫な外壁材です。
そのため、マイホームに長く住みたい方や、外壁の張り替え頻度を少なくしたい方は、ALCパネルの外壁をおすすめします。
エコな家に住みたい人
ALCは通常のコンクリートと比べて、10倍以上の断熱性を持っています。
外壁材として使用することにより、季節を問わず快適な住まいづくりが実現できるでしょう。
さらに断熱材と併用することで、夏は涼しく冬は暖かい環境となり、電気代の節約もできます。
大通り沿いや線路沿いに家を建てる人
ALCは遮音性に優れた外壁材です。
大通り沿いや線路沿いなどに家を建てる場合、ALC外壁であれば高い遮音性が外からの騒音を軽減します。
一方で、生活音を抑えたい方や趣味を思いっきり楽しみたい方も、ALC外壁が室内の音漏れを防ぎます。
ALC外壁への張り替えで失敗しないためには?
現在の外壁材からALCに張り替えたい場合、以下の3つの注意点があります。
・ALC外壁の施工実績が豊富な業者に相談する
・定期メンテナンスを必ず行う
・塗料は防水性が高いものを選ぶ
上記の注意点を押さえた上で工事をすれば、ALC外壁で後悔する失敗を防ぐことができます。
ALC外壁の施工実績が豊富な業者に相談する
デメリットの項で解説したように、ALCは日本住宅の外壁シェア率が1割以下です。
モルタルやサイディングの施工実績が豊富な業者でも、ALC外壁では工事に失敗する可能性があります。
ALC外壁にして失敗しないためには、「ALC外壁の施工実績が多い業者」を選ぶことが最重要です。
業者のホームページや口コミサイト等で実績を確認し、実績の豊富な業者2~3社に見積もりを依頼しましょう。
定期メンテナンスを必ず行う
ALCの耐用年数は50年以上と非常に長持ちしますが、それには定期メンテナンスが欠かせません。
10~15年に一度、塗料を塗り直す定期メンテナンスを怠れば、50年以上持つ耐用年数も20年以下まで落ちてしまいます。
塗料は防水性が高いものを選ぶ
ALCは水に弱いため、塗装メンテナンスを怠れば雨漏りが発生しやすいというデメリットがあります。
塗料はシリコン系やフッ素系など、防水性が高いものを選びましょう。
シリコン系は10~15年、フッ素系は15~20年を目安に塗替えを行います。
まとめ
ALCのメリット・デメリットや、外壁に採用して失敗しないためのポイントを解説しました。
monocla(モノクラ)では、サイディングやモルタルなど外壁リフォームの実績を多数紹介しています。 これから外壁のリフォームを検討されている方は、ぜひご参考になさってください。