快適な住み心地をキープするには、日々のこまめな掃除が欠かせません。しかし仕事や育児などしなければいけないことが多い中で、掃除にかける時間はそう多くはないものです。できれば掃除の手間ができるだけかからない住空間にしたいと思っている人は多いでしょう。
日々の掃除にかかる時間の長さは、家の中にさまざまな工夫を取り入れることで短縮できます。今回は、リノベーションで掃除が楽な家に変身させる3つのコツを紹介します。
コツ1．掃除が楽な素材を選ぶ
掃除が気になる場所として真っ先に挙がるのは水回りです。キッチンや浴室、洗面室、トイレといった場所は、水を使う場所である以上湿気が多いため、ほこりや汚れが定着しやすく取れにくいという特徴があります。逆に考えると、ほこりや汚れがつきにくく取れやすい状態にすれば掃除の手間がかなり軽減されるということ。
リノベーションを検討する際にぜひこだわってほしいのが、水回りで使う素材です。キッチンを例に出して考えてみましょう。
たとえばシンク回りや加熱機器回り。シンク回りの場合、ワークトップ（天板）とシンクの接合部分に注目したいですね。ワークトップはステンレス、人造大理石、タイルなどが使われ、シンクにはステンレスやホーローが使われることが多いです。この組み合わせによって、接合方法が変わります。ワークトップもシンクもステンレスなら、同素材ですから溶接接合となり段差ができません。対して、ワークトップを人造大理石にしてシンクをステンレスにすると、異素材なので接合部はコーキング材を使うことになります。コーキング材は年数の経過にそって劣化することは避けられず、また日々の掃除の仕方によってはカビが生えやすいです。掃除の手間が楽という視点を重視するなら、同素材でそろえるのがおすすめ。
加熱機器回りについても、五徳など部品が多いガスコンロに比べて、1枚のプレートしかないIHヒーターのほうが何倍も掃除は楽です。さらに正面や横の壁面をクロスではなくキッチンパネルで仕上げると、調理中にはねた油汚れがしみこまず、さっと取れます。
他の場所についても考え方は同じです。浴室なら、髪などをキャッチする排水溝部分の構造がシンプルで掃除しやすいプランにしたり、目地が多いタイルではなくパネルで壁面を仕上げるプランがいいですね。トイレの場合、汚れやすい便器回りの床だけフローリングではなくフロアタイルを貼ると掃除がらくになります。
汚れがつきにくい、そして取れやすい素材にすることで、掃除という家事はかなりの時短になると言えるでしょう。
コツ2．掃除が楽なプランにする
素材に加えて、家の中のこまかい部分は掃除の手間がかからない仕様にするというのも大切です。たとえば家の中の段差はその中のひとつです。
家の中でほこりがたまりやすい床面には、できるだけ段差をつけないようにします。廊下とリビングや個室の間に段差があると段差の角にほこりがたまりやすくなるので、フラットにして段差をなくします。掃除機やモップが動かしやすくなって一石二鳥ですね。また、引き戸はレールが床面に出ない上吊り仕様にすると、同じように床面がフラットにできます。出入口だけでなく、ウォークインクローゼットなどの収納スペースも上吊り仕様のドアにするのがおすすめです。
さらに、リビングや寝室の収納は、壁面を活用した造り付け収納にして扉をつけると、内部にほこりが入らないので拭き掃除の手間がかなり軽減します。いわゆる「隠す収納」になるので、すべてをそうすると味気ないと感じるなら、一部だけオープンにしたり、ガラス扉を採用するといいでしょう。要は、拭き掃除が必要な平面部分をできるだけなくすようなプランをリノベーションの計画時にしっかり練ることが重要です。
コツ3．シンプルなレイアウトにする
リノベーションを考える際には、現在のライフスタイルに合わせた間取り変更が発生することがほとんどです。マンションの場合は水回りの位置を大きくは変えられませんが、戸建の場合は住宅内部をすべてスケルトン（空白）状態にして、一から間取りを考えることも珍しくないでしょう。その時は、できるだけシンプルな間取りにするというのが、掃除が楽な家に変身するポイントです。
たとえば廊下を挟んで両サイドに部屋や水回りを配置する場合、左右の出入口をずらした間取りにすると掃除機やモップをかける時に意外と手間がかかります。端が掃除できていないということが起こりやすくなりますし、何より掃除動線がスムーズでなくなります。左右にストレートに動けるというだけで動線が短くなって掃除の効率がよくなりますから、ちょっとしたことですが注意したいポイントです。
まとめ
共働き世帯で忙しい、高齢の夫婦二人暮らしでこまめに掃除するのが億劫など、掃除の手間をなるべく減らしたい理由はさまざまです。ひとつひとつは小さな工夫ですが、そうした工夫を積み重ねることが掃除の楽な家をつくり、快適性を高めることにつながるのです。
単なる家具の配置換えなどでは実現できないので、リノベーションをきっかけにこうした工夫を取り入れ、掃除が楽な家をぜひ手に入れてくださいね。
