近年注目を集めるようになったリノベーション。劣化した箇所だけを新築当時の状態に戻すことが目的のリフォームとは異なり、大幅に間取りを変更したり住宅に機能性を持たせたりするのが目的になるため、より綿密な打ち合わせが必要です。
そんなリノベーションを成功させるには、押さえておきたいポイントを見逃さないことが重要です。そこで今回は、リノベーションで理想の住まいづくりを実現するための成功ポイントをまとめました。
ポイント１．躯体（骨組）を生かす
理想の住宅をつくることができる方法として注目されているリノベーションですが、建て替えのように建物をすべて解体して一から建て直すわけではないので、どうしても制限があります。屋根や2階を支えている柱は外せませんし、土地の条件によっては水まわりの配管の取り回しが難しい箇所が出ることもあります。
現場調査でこうした制限の内容は分かるので、施工業者と打ち合わせをする際は「どこまでできて何ができないのか」をはっきりをしっかり把握して間取りのプランを考えていきましょう。
ポイント２．ライフスタイルや家族構成に合わせる
新築時から年数が経ってくると、ライフスタイルや家族構成の変化によって住み心地が悪くなってくるケースが多いです。「新築時には家族3人だったのが20年経って子供が増えて5人家族になっている」「2年前から両親を呼び寄せて同居している」「子どもが全員独立して夫婦2人になった」など、家族構成が変化するのは自然なことです。
家族構成が変化すると、育児がメインの生活になったり介護が必要な生活になったりとライフスタイルにも変化が生まれますから、こうした変化に合わせてリノベーションを行うことになります。
ポイント3．要望の優先順位を決める
リノベーションを行う上で重要なステップのひとつであるプランニング。満足度の高いプランニングにするには、要望の整理と優先順位の決定が不可欠です。現状の不満点はもちろん、リノベーションによってどのような暮らし方をしたいのかを想像して、要望を出すことが大切です。
家族それぞれ、要望の内容が違うのは自然なこと。特に水まわりやリビングなど家族全員が使う箇所については、家族全員の要望をしっかり出し合って整理していかないと、家族全員が満足できるプランニングができません。施工的にできるかどうかはいったん置いておいて、「こんなリビングにしたい」「くつろげるようこういうお風呂がいい」など、まずは要望を出しましょう。その上で、要望が多かった項目や必ず対応しなければいけない項目からリストアップして、優先順位をつけるのがおすすめです。
ポイント4．ホームインスペクションで現状を正確に把握する
雨漏りなど日常生活を脅かす不具合が起きている、地震対策をしたいなど、住宅の重要な機能の改善がリノベーションを検討しはじめたきっかけなら、単純に不満点を解消するだけではあまり意味がありません。住み心地を高めるためには住宅そのものが健全な状態でなければいけませんから、構造部分などの重要な箇所を中心に住宅の現状を正確に把握しておきたいものです。
施工業者が現場調査でチェックしてくれますが、より客観的な視点で確認してもらいたいと思うならホームインスペクション（住宅診断）サービスを利用するのがおすすめ。ホームインスペクションは、住宅の外部や内部全般、設備機器などの状態を目視または機械を使って現状を調査するサービスです。劣化している箇所や程度、対策方法、対策すべき時期などを第三者視点でアドバイスしてくれますから、その結果をもとに工事内容の優先順位を決めるとスムーズでしょう。
ポイント5．要望と予算のバランスを考える
現在の住宅の不満点を解消するだけでなく、「前よりも暮らしやすくなった」という新しい付加価値を加えるのがリノベーションです。住み心地を高めるためのコツは、現状の不満点と要望を正確に把握して、それらをクリアできるようなプランニングを行うこと。家族それぞれに異なる要望をできるだけ多く取り入れられたらベストですね。
ただし、法規上の制限などをクリアした上で要望を目一杯取り入れられたとしても、工事費用が予算より大幅に超えてしまうと別問題です。予想しているオーバー額の範囲内ならまだいいとしても、たとえば予算の2倍近い工事費用が見積として出てきたら、もう一度要望の優先順位を整理し再考する必要があるでしょう。貯金を大幅く切り崩したり、計画よりも多額のリフォームローンを組んだりすると、リノベーションが成功したとしてもその後長く続く生活の資金計画が不安定になったのでは本末転倒です。このリノベーションの目的は何かをよく家族で話し合って決めることが大切です。
まとめ
工事範囲が広くなりがちなリノベーションは、検討しなければいけない項目が多いため労力も時間もかかります。資産である住宅を大切に使っていくためにも、余裕のあるスケジュールでじっくりと考えながら進めていくことをおすすめします。
