マイホーム購入のために住宅ローンを組む場合は、将来家のリフォームが必要になった時に備えて、住宅ローンの「借り換え」という選択肢も知っておきましょう。住宅ローン返済中にリフォームが必要になった時、住宅ローンを借り換えることのメリットについて解説します。
家のリフォームは住宅ローン返済中に発生する可能性がある
家は、約20~30年に一度はリフォームが必要です。毎日の生活で必ず使うお風呂やトイレ、キッチンなどの水回り機器は、15~20年目には不具合が出始めます。その他、外壁や屋根など屋外の雨や紫外線から家を守っている外装も、15年前後で塗装が劣化し、点検を怠れば外装材や建物の構造材まで劣化してしまいかねません。
設備の故障や劣化とは別に、住み始めて20~30年も経てば、家族のライフスタイルにも変化が表れ始めます。両親の高齢化に伴って階段や段差のないバリアフリーな家が必要になったり、子どもの独り立ちで子供部屋を書斎にリフォームしたりするケースもあるでしょう。
このように、家は20~30年のあいだに何らかのリフォームが発生すると考えられます。しかし、住宅ローンを借りて家を購入した場合、リフォームの発生時もローンの返済が続いているかもしれません。
住宅ローンの返済期間とリフォーム発生タイミングは重なりやすい
住宅ローン「フラット35」で有名な住宅金融支援機構では、住宅ローンを提供している金融機関で毎年アンケートを実施しています。2018年7~9月に実施されたアンケートでは、「住宅ローンの貸出期間」について以下のような結果が出ています。
- 35年以下のローンを組んでいる人は20.8%
- 30年以下のローンを組んでいる人は41.9%
- 25年以下で借りている人は21.2%
- 10年や15年で借りている人は全体の5%にも満たない
参照:住宅金融支援機構『民間住宅ローンの貸出動向調査』
https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_minkan.html
https://www.jhf.go.jp/files/400348645.pdf
上記の結果から、住宅ローンの平均借入期間は25~35年と考えられます。従って、多くの人にとって、20~30年に1度は行うことになるリフォームと、住宅ローン返済期間が重なる可能性は非常に高いと言えるでしょう。
リフォームは百万円以上かかることもある
家の中で最もリフォームの頻度と需要が高いのは水回り機器です。日々の生活に欠かせない水回り機器は、早ければ約10~15年目には不具合が出始めますが、各水回り機器を単体でリフォームする場合、以下の費用が必要になります。
※費用は平均的な相場です
水回りリフォームの種類 | リフォーム費用の相場 |
---|---|
システムバスの交換 | 70~110万円 |
システムキッチンの交換 | 60~130万円 |
トイレの交換 | 20~40万円 |
洗面台の交換 | 20~100万円 |
外壁や屋根の塗装も同時に行えば、家のリフォームだけで500万円以上の費用かかる可能性もあります。建て替えやフルリフォームとなれば、数千万円という高額な費用を準備しなければなりません。
ローン返済中でも住宅のメンテナンスが行えるように、リフォームにかかる費用は常に確保しておく必要があります。
こちらもお読みください
リフォーム・リノベーションの部位ごとの費用相場
https://monocla.com/columns/mansion/486/
住宅ローンの借り換えについて知っておこう
住宅ローン返済中にリフォームが必要になった時に検討したい方法が、住宅ローンの「借り換え」です。住宅ローンの借り換えとは、現在返済している住宅ローンを別の金融機関で借り直すことです。現在返済中の住宅ローンよりも金利が安い住宅ローンに借り換えができれば、利息が減る分、総返済額を減らせるというメリットがあります。
借り換えの具体的な流れを簡単に説明すると、以下のようになります。
- 新しく借り換える金融機関から融資を受ける
- 新しく借り換える金融機関の融資額で、古い住宅ローンの残債を一括返済
- 新しく借り換えた金融機関で住宅ローンの返済開始
借り換えの際は、新しく借りる金融機関での審査や契約、古い住宅ローンを借りていた金融機関への一括返済の申し込みといった、細々とした手続きが発生します。利用時は、各金融機関の契約条件をよく調べておきましょう。
借り換えは利息を減らすためだけでなく、リフォーム費用のローンを住宅ローンへ上乗せするために行われることもあります。
住宅ローンの借り換え時にリフォーム費用を上乗せするメリット
住宅ローンの借り換えでは、新しく借り換える住宅ローンに、これから行うリフォームの費用も合算することができます。
なお、リフォーム費用のローンを組みたい場合は、住宅ローンの借り換えを行わなくても、「リフォームローン」を利用することもできます。しかし、借入期間や金額によっては、リフォームローンを利用せず住宅ローンの借り換えを行った方が、総返済額を抑えられる可能性もあります。借り換えでリフォーム費用を上乗せするメリットや、リフォームローンとの違いを知っておきましょう。
金利が高い「リフォームローン」を利用せずに済む
住宅ローンの借り換えでリフォーム費用を上乗せすると、リフォーム費用の金利も、住宅ローンと同じ金利が適用されます。もし、借り換えを行わずにリフォームローンを選んだ場合、リフォームローンの高い金利を負担しなければなりません。
リフォームローンは無担保型のローンですので、抵当権を設定する必要がない分、住宅ローンに比べると申し込みのハードルは高くありません。ただし、無担保型のリフォームローンは、担保がしっかり設定されている有担保型の住宅ローンよりも金利が高いというデメリットがあります。
住宅ローンの平均金利 | リフォームローンの平均金利 |
---|---|
0.6~2% | 2~4% |
※2019年4月時点
仮に300万円のローンを5年で返済した場合、金利が2%なら総返済額は約315万円ですが、金利が4%だと総返済額は約331万円です。金利が2%高いだけでも20万円多く利息を払うことになってしまいます。借り換えの手間を惜しんでリフォームローンを契約してしまう前に、総返済額をよくシミュレーションしておきましょう。
こちらもお読みください
リノベーション前に考えたいリフォームローンと住宅ローンの違い
https://monocla.com/columns/mansion/321/
住宅購入費用とリフォーム費用の返済を一本化できる
住宅ローンとは別に、新たにリフォームローンを組むと、住宅ローンの返済に加えてリフォームローンの返済もスタートします。毎月返済用口座に資金を用意して残高を確認するだけでも非常に手間がかかりますが、返済が2本もあると、精神的な負担も倍になってしまうでしょう。
リフォームローンを新たに申し込まず、借り換えでリフォーム費用と住宅購入費用を一本化すれば、返済の窓口が1つになるぶん返済にかかる負担を和らげることができます。
おわりに
リフォーム費用一体型の借り換えは、住宅ローン返済中にリフォームが発生した時の有効な手段と言えます。住宅を購入する時は、将来発生するリフォームも視野に入れ、借り換えという選択肢も頭に入れたうえで住宅ローンを選ぶと良いでしょう。