間取りや住宅設備などいろいろとこだわって建てた住宅も、築年数が経ってくると使いづらさや見た目の劣化が気になってきます。定期的にメンテナンスをしていても経年劣化は避けられませんし、暮らし方の変化によって住空間に求めるものが変化してくるのも自然なことです。
こうした状態を解消する方法として検討したいのがリノベーション。構造部分だけを残して室内部分は解体し、一から間取りを作り直すリノベーションは、まさに二度目の家づくりと言える方法です。時間や費用をかけて行うわけですから、より高い効果を得るために上手に進めていきたいもの。
そこでこの記事では、リノベーションを進める上で押さえておきたいポイントをまとめてみました。
リノベーションの進め方のポイント1:情報収集の前に要望を整理する
前述したように、リノベーションはリフォームのように単に古いものを新しくするわけではありません。住宅に新しい価値を加えるための工事ですから、「どういった住宅にしたいのか」「その住宅でどのような暮らし方をしたいのか」という点を重視して進めていく必要があります。
リノベーションを成功させるコツのひとつとして重視しておきたいのは、要望の整理です。よくリノベーションを検討し始めるとすぐ資料請求をしたりショールームを回ったりするケースがありますが、自分の要望がまとまっていない段階ではピントがずれた情報を集めることになりかねません。まずは現在の住宅に感じている不満点をピックアップするのに加えて、どのような暮らし方をしたいからリノベーションを行うのか、目的や住宅に加える価値を明確にしておくことが大切です。
たとえば「開放的な空間にしたい」という要望があるとして、単にリビングダイニングを広くするだけならリフォームでも対応できるでしょう。そこで終わるのではなく、開放的な空間をつくることで実現できる生活について具体的に考えるわけです。「友人を呼んでホームパーティーを月に数回は楽しみたい」「趣味の絵画を鑑賞できるよう壁面をギャラリー風にしたい」など、これまでの住宅にはなかったけれど欲しかった付加価値をつけるための理由と目的を整理しておくのがおすすめです。
実際にどういった工事が必要なのかという技術的なことは、ここで考える必要はありません。要望を整理しておけば、プロであるリノベーション業者が適したプランを提案してくれるからです。まずは自由な発想や心から湧き出る思いを重視して、家族全んで要望を出しあい、優先順位を付けていきましょう。
リノベーションの進め方のポイント2:工事の予算額は「上限」を設定する
要望の整理と前後して、リノベーション工事に出せる予算額を考えます。リノベーションは住宅に付加価値を付けるものだと説明しましたが、リノベーションにお金をかけすぎてその後の生活に支障が出るようでは本末転倒だからです。
リノベーションの資金計画を立てる時には、希望の予算額と同時に上限の予算額を出しておきましょう。というのも、リノベーション業者から「思ってもみなかったいいアイデアだけれど少し高い」というプランが出てきた時に検討しやすいからです。
固定した予算額に縛られすぎると、リノベーションのプランについて妥協してしまう可能性が高くなり、結果的に「やはりああしておけばよかった」と後悔することになりかねません。せっかく時間やお金をかけて行うのですから、予算額にも幅を持たせておくことをおすすめします。
リノベーションの進め方のポイント3:リノベーション業者は相性が大切
要望の整理と予算額をまとめたら、次はリノベーション工事を依頼するための業者選びです。基本的には2~3社から同じ条件で相見積もりを取り、プランや工事費用などの違いを比較しながら絞り込んでいきます。
最近はウェブ上で10社前後に一括見積依頼ができるサイトもあり、相見積を取ること自体は簡単にできるようになりました。しかしウェブ上でのやり取りでは見えないことも多く、不安を感じる人も多いでしょう。そんな時は、ある程度絞り込んだ後、業者が開催しているイベントに直接参加してみましょう。無料のセミナーでもいいですが、現場見学会や完成見学会に参加できれば施主と直接話せるため、業者に関する生の情報を得やすくなります。
リノベーションにおいて、業者との相性は重要です。打ち合わせの中でずれを感じないか、要望がきちんと理解してもらえているか、プランや見積の提示が遅れたりしないかなど、担当者の応対の仕方もよくチェックして決めましょう。
リノベーションの進め方のポイント4:現場の進捗を任せきりにしない
プランが決定し工事契約を終えていざ工事が始まると、まさにリノベーションの本番です。契約したプランや仕様の通りに施工されているか、工程通りに進んでいるか等、現場の進捗について営業担当者や施工担当者と密に連絡を取って把握しておくことが大切です。
時には担当者に現場を見せてもらうよう依頼するのもいいでしょう。きちんと現場監理をしている業者ほど、施工状態に自信を持っているだけに施主が現場に来ることを拒否せず受け入れます。専門的に現場をチェックするというよりは、施工担当者から説明を受けて不安な点や分からない点を都度確認するためにも現場を見るのは有効です。
工事範囲が広く、工事項目も多いリノベーションは、じっくりと確実に進めたいもの。紹介してきたポイントをしっかり押さえながらリノベーション業者と密にコミュニケーションをとり、納得のいくリノベーションを実現させたいですね。