減築リフォームとは、建物の床面積を減らすリフォームのことです。たとえば、2階の床の一部を取り除いて吹き抜けにしたり、使わなくなった部屋をまるごと撤去したりするリフォームが減築にあたります。今回は減築リフォームのメリット・デメリットや、事例ごとの費用の相場を解説します。

減築リフォームとは、建物の床面積を減らすリフォームのことです。
たとえば、2階の床の一部を取り除いて吹き抜けにしたり、使わなくなった部屋をまるごと撤去したりするリフォームが減築にあたります。
子どもが独立して家を出ていった後や、ご高齢の方が暮らす住宅などで減築リフォームを行うケースが増えています。
今回は減築リフォームのメリット・デメリットや、事例ごとの費用の相場を解説します。
減築リフォームのメリット
減築リフォームのメリットは、以下のとおりです。
・固定資産税が減額される可能性がある
・耐震性能が高くなる可能性がある
・床面積の縮小で将来のメンテナンス費用が軽減する
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
固定資産税が減額される可能性がある
減築リフォームを行うと建物の延床面積が減少するため、固定資産税が減額される可能性があります。
固定資産税は「課税標準額×1.4%」で計算されており、課税標準額は延床面積をもとに決定されるため、減築リフォームによって延床面積が減少すると、固定資産税が減額されます。
耐震性能が高くなる可能性がある
減築リフォームをすることで、建物の耐震性能が高くなる可能性があります。
地震の揺れの力は建物の重さにほぼ正比例するため、減築リフォームで住宅を軽くすることで、揺れの影響が少なくなって耐震性が高まるのです。
床面積の縮小で将来のメンテナンス費用が軽減する
建物を長持ちさせるためには、定期的にメンテナンスを行うことが必須です。
メンテナンスが必要な箇所が多くなる分、また延べ床面積が広い分、費用が高くなる傾向にあります。
したがって、減築によってメンテナンスが必要な箇所を減らしていけば、将来にわたってメンテナンス費用を軽減することができます。
減築リフォームのデメリット
減築リフォームには、以下のようなデメリットもあります。
・工事費用が高くなりがち
・工事後は登記申請が必要
・工事内容によっては仮住まいが必要
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
工事費用が高くなりがち
減築リフォームは大規模な工事になることもあります。
工事費用の相場は1㎡あたり10万円~15万円、建物の延べ床面積によっては総額で数百万円~1,000万円超かかる場合があります。
たとえば、減築リフォームの定番の事例である「2階建て住宅を減築して平屋にする」ケースでは、約30坪の住宅500万円~1,000万円が費用の相場です。
工事費用はリフォーム内容や減築する範囲、依頼する施工業者によって異なるため、後述する「減築リフォームの事例と工事費用の相場」をご参考になさってください。
工事後は登記申請が費用
減築によって建物の延べ床面積が変わる場合は、登記申請が必要です。
申請期間は変更のあった日から1ヶ月以内となっており、手続きの際には約5万円~の費用がかかります。
工事内容によっては仮住まいが必要
減築リフォームの内容によっては、1~2ヶ月の工事期間を要する場合があります。
その間は仮住まいを用意して、家具や生活必需品などを搬出しておかなければなりません。
減築リフォームの事例と工事費用の相場
減築リフォームの具体的な事例と、工事費用の相場をご紹介します。
2階の床を撤去して吹き抜けに
工事費用の相場:200万円~500万円
工事期間の相場:30~60日
玄関やリビングなどに吹き抜けの空間を設けるリフォームです。
デザイン性はもちろん、採光性も高まり、開放感のある空間を実現できます。
吹き抜けを造作した場合は、プライバシーの確保や防寒を目的として、間仕切りや断熱の工事を検討する必要があります。
2階建て住宅を平屋に減築
工事費用の相場:500万円~1,000万円
工事期間の相場:30~60日
2階建ての戸建てを平屋にする事例は、家族構成の変化に伴って検討されることの多い減築リフォームの定番です。
重量のある2階部分を撤去することで、建物の耐震性能が高まるというメリットもあります。
使わなくなった居室を撤去して駐車スペースを確保
工事費用の相場:1,000万円~
工事期間の相場:50日前後
使わなくなった部屋を減築して、駐車スペースを確保するリフォームです。
駐車スペースのほか、ビルトインガレージや家庭菜園用の庭など、減築した部分を有効活用できます。
まとめ
減築リフォームのメリット・デメリットや、よくある事例と費用の相場を解説しました。
専門業者に減築リフォームを依頼するときは、施工実績が豊富なことはもちろん、各種申請が必要になることも想定して、建築士の有資格者がいる業者を選びましょう。
また、減築に伴って耐震改修や省エネ改修を行うと補助金や減税措置が受けられる場合もあるため、それらの制度に詳しい業者を選ぶことも大切です。