
室内の空気中を浮遊しているほこりや有害物質、煙などの分子によって、汚れや傷みが年々進んでいく壁紙。築年数が経過してくると発生する黒ずみや黄ばみ、はがれなどが目立ってきたら、リノベーション工事で機能性やデザイン性をプラスαの状態にするいい機会です。
どんな壁紙を選ぶかによって空間の雰囲気が劇的に変わりますから、壁紙の種類や機能などについて事前に基礎的な知識を持っておくのがおすすめ。そこで今回は、壁紙の種類を機能性とデザイン性の2つの視点からご紹介します。
壁紙の種類~機能編~
壁紙というと色や柄に注目しがちですが、最近は機能性壁紙とよばれるタイプの壁紙が増えてきたこともあり、空間の用途に合わせて機能性の視点から選ぶケースが増えています。機能性壁紙とは、主にビニール製壁紙にさまざまな便利な機能を採用したものです。
消臭機能
タバコを吸う家族がいる、ペットを飼っているといった家庭の住宅に貼られている壁紙には、タバコやペットのニオイが染みついています。一般的な壁紙だとニオイの分子が壁紙の繊維の中に入り込んでしまうので、一度つくと取れません。しかし消臭機能がついた壁紙は、ニオイの分子を吸着させて消失させる構造になっているので、室内のニオイを大幅に軽減させます。リビングや寝室など、リラックスしたい空間にはおすすめです。
防汚機能
小さな子どもが汚れた手で壁を触ったり、ペットが接触したりすると、壁紙の表面に汚れがつきます。気づかずにそのまま放置していると壁紙の繊維の奥に汚れがしみこむため、シミや黒済みの原因になります。防汚機能がついている壁紙は、表面に特殊なコーティングを施してあるので、ついた汚れが表面に浮いた状態になり繊維の奥にしみこむのを防ぎます。から拭きや水拭きだけで簡単に汚れを落とせるため、トイレなどの水まわりや子ども部屋などに採用するケースが多いです。
抗菌機能
壁紙の表面に抗菌剤が塗布されており、表面についた雑菌の繁殖を抑えます。ニオイや汚れもあわせてカットするため、汚れやすい水まわり空間に採用することが多いでしょう。
防カビ機能
一般的なビニール壁紙や、紙製・布製の壁紙は、繊維に湿気を含んだ状態が続くとカビが生えやすくなります。繊維の奥でカビの胞子が広がると、黒ずみや黄ばみの原因になります。防カビ機能がついていればカビの胞子をつかまえて消失させるため、高い確率でカビの発生を抑えることができます。日当たりの悪い個室やウォークインクローゼット・シューズインクローゼットなど、風通しが悪いために湿気がたまりやすい場所に採用すると効果的です。
壁紙の種類~デザイン編

室内のもっとも大きな面積を占める壁がどんな色やデザインなのかによって、室内の雰囲気は大きく変わります。壁紙の色はバリエーションが豊富で、一つの品番で50色以上展開されているタイプもあり、微妙なトーンの違いから好みの色を選ぶことができます。シンプルでどんなインテリアにも合わせられるホワイトやアイボリーは不動の人気ですが、最近はホワイトやアイボリーを3面に、他の色を1面に貼るアクセントクロスという手法を取り入れるケースが多いです。
グレー系やブルー系などの寒色系はクールでスタイリッシュな印象を与えますから、モダンテイストのインテリアと相性がいいです。イエロー系やピンク系などの暖色系はぬくもりのある印象を与えますから、ナチュラルテイストやフレンチテイストのインテリアとマッチします。
色だけでなく、デザインもこだわりたい部分です。花柄や幾何学柄、水玉柄といったイラストが描かれているようなタイプもあれば、タイルやコンクリート・木材などの素材感を感じさせるタイプもあります。最近はチョークで直接絵や文字をかける黒板クロスというタイプもあり、カフェ風のインテリアや遊び心をくすぐるインテリアにしたい場合はおすすめです。
壁紙を使った上手なリノベーションを行うポイント
リノベーションは、部分的な改修を行って新築時の状態に戻すのが目的のリフォームとは違って、住まいに付加価値をつけるために一定以上の規模を対象に行う工事です。間取りの変更や設備機器の交換と合わせて内装を一新するわけですから、内装による空間の雰囲気の変化を存分に楽しむためにも壁紙の選定は重要な項目です。
リノベーションに合わせて好みのインテリアに変えようと思っているなら、そのテイストに合わせた色やデザインの壁紙を選ぶのが基本です。たとえば、ナチュラルテイストのインテリアにしようとしているのにコンクリートを模した壁紙を選ぶ、といったことはバランスが取れませんから避けることが大切です。
また、選んだ壁紙を貼った後のイメージは、サンプル帳の小さなサンプルでは想像しにくいですから、ある程度候補を絞ったら一度はショールームで実物を確認しましょう。大きな面のサンプルを見ることで、イメージとの差がないかどうかをチェックできます。
また、サンプル帳を見ていると凝ったデザインのタイプも多いですから、おしゃれな印象があってつい選んでしまうかもしれません。しかし凝ったデザインのタイプほど飽きがくるのも早いので、本当に好みの色やデザインなら選んでもOKですが、奇をてらった雰囲気を狙って選ぶのであれば慎重に検討する必要があるでしょう。
まとめ
普段なにげなく見ている壁紙ですが、ほんの少し色が変わったり柄が入っただけでも雰囲気を変える力を持っています。
機能性やデザイン性にバランスよくこだわりながら、壁紙選びを楽しんでみてはいかがでしょうか。