住宅改修で9割戻る?「介護保険」で受け取れるリフォーム助成金

「介護保険の住宅改修」はご存知でしょうか。介護者にとって、住みやすい住宅に改修することは重要なことです。ただ住宅改修には費用がかかりますので、住宅改修に踏み出すのは難しいことと思います。

そこで知っておいた方がいい制度が「介護保険の住宅改修」です。「介護保険の住宅改修」を利用すれば、なんと費用負担の9割が払い戻されます。つまり1割の負担だけで住宅改修することができるのです。

この制度を活用してもらうために、この記事では、「介護保険の住宅改修」の支給額や要件、トラブル事例とその対応方法について解説します。

1 「介護保険の住宅改修費」はどのような支援?

介護が必要となった場合、自宅のバリアフリー化など住宅を改修して生活に支障をきたさないようにしたいところですが、費用負担が発生してしまいます。

「介護保険の住宅改修費」とは、住宅に手すりを取り付けるなど一定の住宅改修を行った場合、負担した費用の9割を介護保険の給付費として払い戻される制度です。また、受領委任払い取扱事業者に工事を依頼すると、費用負担分全額を払わずに済み、最初から利用者負担分の1割分を支払うだけで工事をすることができます(受領委任払い制度)。

なお一定以上の所得がある場合、利用者負担は、2割(保険給付16万円)または3割(保険給付14万円)となります。利用者負担が増える人は、「65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が160万円以上」の場合などですが、詳しくは市区町村役場にお問い合わせください。
※参考:多摩市「介護保険の自己負担は所得に応じて1割から3割までのいずれかです」
http://www.city.tama.lg.jp/0000003046.html

では、ここからは「介護保険の住宅改修費」の要件や対象者、手続き方法について解説します。

2 「介護保険の住宅改修費」の支給額

一定の要件を満たすと支給される金額は最大18万円です。支給限度基準額が20万円となっており、この9割(20万円×90%=18万円)が介護保険の給付費として支払われます。たとえば住宅改修費が25万円の場合でも支給の対象となりますが、支給額は18万円となります。

<支給額>

支給限度基準額20万円
支給限度額18万円

3 「介護保険の住宅改修費」の要件や対象者

「介護保険の住宅改修費」の支給対象者は、要支援・要介護の人で、区分にかかわらず定額で支給されます。支援限度基準額20万円は1人1回だけしか使えませんが、要介護状態区分が3段階上昇した場合や転居した場合に限り、再び支援限度基準額20万円を利用することができます。

払い戻しを受けるためには原則、住宅改修前に申請書を、住所地を管轄する市区町村へ提出し、工事完成後に、支払った費用額が分かる書類等を提出しなければなりませんが、やむを得ない事情がある場合に限り、工事完成後に申請することができます。

<対象者・要件>

対象者要支援者・要介護者
要件原則、事前申請

4 「介護保険の住宅改修費」の対象となる工事の種類(例)

「介護保険の住宅改修費」の対象となる工事内容をあらかじめ確認する必要があります。事前申請が原則ですので、申請時の説明をよく聞いておきましょう。対象工事(例)は次のとおりです。

・手すりの取付け
・段差の解消
・滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更・引き戸等への扉の取替え
・洋式便器等への便器の取替え
・その他、1~5の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

5 「介護保険の住宅改修費」の手続き方法と必要書類

「介護保険の住宅改修費」による払い戻しを受けるための手続き方法を紹介します。

1 ケアマネジャー等に相談
※ケアマネジャー等が作成した理由書が必要です。
※ケアマネジャーがいない場合は役所の支援課等に相談

2 住宅改修の内容について、事前に役所の保険年金課等で相談
※受領委任払い取扱事業者に工事を依頼すると、利用者負担分で工事できます。
※住宅改修工事は、登録事業者でなくても取扱い可能

3 役所の保険年金課等へ住宅改修費の申請
※工事着工前の事前申請が条件

4 施工・完成

5 住宅改修費の払い戻し
※受領委任払い事業者に依頼した場合は手続き不要

<工事着工前に必要なおもな書類>

介護保険給付費支給申請書
住宅改修が必要な理由書
介護保険給付の申請・受領委任状
見積書・見積額内訳書
工事施工前の写真(日付の入ったもの)
完成予定の状態がわかるもの(写真又は簡単な図を用いたもの)

<工事着工後に必要なおもな書類>

領収証
※受領委任払いの場合は、被保険者に渡した領収書の写し
工事内訳書
工事施工後の写真(日付の入ったもの)
住宅改修に係る総費用学明細書兼確認書(受領委任払いの場合)

※やむを得ない事情がある場合、工事着工後に<工事着工前に必要なおもな書類>を提出することができます。どのようなケースがやむを得ない事情に該当するかは役所にお問い合わせください。

6 「介護保険の住宅改修費」に関するトラブルと対応方法

「介護保険の住宅改修費」に関するトラブルと対応方法を確認し、トラブルに巻き込まれないようにすることが大切です。ここでは、トラブル例と対応方法について紹介します。

「介護保険の住宅改修費」に関するトラブル例

「介護保険の住宅改修費」に関するトラブルもあるようですので、沖縄県国民健康保険団体連合会「住宅改修にかかわるトラブル相談事例」に掲載されているトラブル例を紹介します。

事例1 「介護保険でできる」と言われたが、実際は対象外だった。
訪問販売業者に「介護保険で改修できる」といわれ、50万円の住宅改修契約をし、内金20万円支払ったが、後日、ケアマネジャーに「その工事は対象にならないし、介護保険で利用できるのは20万円まで」と言われた。

事例2 工事がずさんで役に立たない。やり直してもらいたい。
設置した手すりの位置が高すぎて役に立たない、段差の解消も仕上げが雑である。やり直してもらいたいが、追加工事になり10万円かかると言われた。
引用:沖縄県国民健康保険団体連合会「住宅改修にかかわるトラブル相談事例」

「介護保険の住宅改修費」に関するトラブル 対応方法

住宅改修費の払い戻しは、市区町村が行いますが、住宅改修については事業者が行います。住宅改修に関するトラブルについては市区町村が責任を負うわけではありませんので、トラブルに合わないための対応方法を確認しておきます。

 1 事前にケアマネジャーや役所に相談しておく

  「介護保険の住宅改修費」は、原則、事前申請となっています。住宅改修事業者の選び方や契約解除の方法、トラブルに巻き込まれた場合の対応方法について事前に説明を受けておきましょう。また対象となる工事を事前に確認し、心配であれば住宅改修事業者から受け取ったパンフレットや見積書など具体的な資料をもとに相談しておきましょう。

 2 必ず複数の住宅改修事業者を比較検討する

  トラブル事例1のように、訪問販売で住宅改修を勧められると、意識しなければ比較検討する機会はないでしょう。このように勧められても、その工事内容だけを検討するのではなく、他の住宅改修事業者にも見積もりを依頼したり、契約を結ぶ前に役所に相談したりして、広く情報を集めるようにしましょう。

 3 アフターサービスを確認する

  トラブル事例2のように、住宅改修が希望通りでない場合も考えられます。住宅改修事業者のなかには、改修後のメンテナンス等についてアフターサービスを行っていることがあります。アフターサービスの有無とその内容についても事前に確認しておきましょう。

おわりに

介護保険は公的社会保険ですので、要件さえ満たせば、払い戻しを受けられますが、住宅改修事業者は自己責任で選ぶ必要があります。事業者とのトラブルを未然に防ぐためにも、事前申請時に事業者の選び方やトラブルの回避方法についても聞いておきましょう。

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