窓は住まいの明るさや快適さ、さらには居住者のプライバシーを左右する大切な要素です。今回は住宅の窓を設置場所と開け方によって分類、メリット・デメリットをご紹介します。さらには、新築の窓の失敗しない選び方についても解説します。

「窓」と聞いていくつの種類が思い浮かびますか?
新築を建てるときは、どんな窓を採用するかという点も重要な検討事項のひとつです。
窓選びは住まいの明るさや快適さを左右するため、機能やデザインはもちろん、使い勝手も含めて最適なものを選びましょう。
今回は一般的な新築に採用される窓の種類や、失敗しない窓の選び方について解説します。
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設置場所による窓の種類
まずは、窓の設置場所による分類をご紹介します。
住宅に採用されることの多い窓は以下のとおりです。
1. 掃出し窓
2. 天窓(トップライト)
3. 高窓(ハイサイドライト)
4. 地窓
5. 出窓
それぞれの窓について、メリットやデメリットを詳しく解説します。
掃き出し窓|開放感のある大きな窓
メリット | 採光性・通気性に優れる開放感がある出入りがしやすい |
デメリット | 外から室内が見えやすい断熱性に乏しい |
掃き出し窓は、窓枠の下部分が床まである背の高い窓を指します。
掃除の際にホコリやチリをほうきで外に掃き出すことを目的としていたことから、掃出し窓と呼ばれるようになりました。
掃出し窓は採光性・通気性に優れ、窓を開けると気持ちの良い開放的な空間になります。
しかし、背の高い窓であるがゆえに、外から室内が丸見えになるというデメリットもあります。
カーテンをすることはもちろん、すりガラスや施錠の強化などで十分に防犯対策を講じましょう。
天窓(トップライト)|採光性は通常の窓の3倍
メリット | 採光性・通気性に優れるプライバシーが確保される室内からの開放感が得られる |
デメリット | 掃除がしづらい雨漏りのリスクがある |
天窓は、屋根に面した場所に設置される窓です。
住宅密集地など日当たりが十分でない立地において、おもに室内の再構成を高める目的で採用されます。
天窓の採光性は壁に設置される通常の窓よりも3倍近いとされており、部屋にいながらにして十分な太陽の光を浴びることができます。
一方で天窓は自分で掃除をするのが難しく、汚れやすい点がデメリットです。
また天窓のパッキンの経年劣化や施工不良により、雨漏りのリスクもゼロではありません。
高窓(ハイサイドライト)|住宅密集地の窓におすすめ
メリット | 採光性に優れる プライバシーが確保される |
デメリット | 掃除がしづらい |
高窓は通常の窓よりも壁の高い位置に設置する窓です。
手の届かない位置にあるため、開閉する場合は専用のチェーンや電動のリモコンを使います。
天窓と同じく採光性に優れ、室内のプライバシーも守られます。
ただし、高い位置にあるため掃除がしにくいという点がデメリットです。
ホームセンター等で高所用の掃除道具を購入するか、専門業者に依頼することで対処しましょう。
出窓|お部屋のインテリアにもなる窓
メリット | 家のおしゃれなアクセントになる 出窓のスペースを有効活用できる 室内を広く見せる効果がある |
デメリット | 夏は熱く冬は寒い |
出窓は壁から外に飛び出るような構造の窓です。
外から見るとひと目で出窓と分かるため、家のアクセントとして存在感を発揮します。
さらに、出窓の室内側のスペースを有効活用すれば、おしゃれなインテリアにもなります。
出窓のデメリットとしては、断熱性が引くため夏は熱がこもりやすく、冬は結露が生じやすいことです。
出窓の意匠を生かしたまま断熱性を高めるには、断熱・防露に効果が高い複層ガラスの採用がおすすめです。
開き方による窓の種類
窓は開き方で分類されることもあります。
開き方で分類した場合、代表的な窓の種類は以下のとおりです。
1. 引き違い窓
2. 上げ下げ窓
3. すべり出し窓
4. 開き窓
5. ルーバー窓(ジャロジー窓)
6. はめ殺し窓(FIX窓)
それぞれの窓の特徴について解説します。
引き違い窓|住宅の窓の定番
メリット | 開閉がシンプルで使いやすい 施工しやすいため安価 |
デメリット | 気密性や断熱性が高くない レール部分のこまめな清掃が必要 |
「窓」と聞いて、誰もが真っ先に思い浮かぶ形状は「引き違い窓」ではないでしょうか?
引き違い窓は障子や襖と同じく、2枚以上のガラス戸をレールにはめて、横方向にスライドさせて開閉します。
もっとも一般的に流通している窓の形状ですので、開閉がシンプルで使いやすいことがメリットです。
また施工じたいも他の窓の種類と比べて簡単なため、工事費用が安価で済みます。
一方で、レールとガラス戸の間に隙間があり、気密性・断熱性がよくありません。
とくに室内外の気温差が激しい時期は、室温の調整に工夫が必要です。
上げ下げ窓|デザイン性・防犯性に優れる窓
メリット | 気密性が高い 防犯性に優れる デザインがおしゃれ |
デメリット | 開閉するときに力が要る 掃除がしづらい |
2枚のガラス戸を上下にスライドさせて開閉するタイプの窓です。
洋風の住宅にピッタリのデザインで、工夫次第ではお部屋のアクセントにもなります。
また引き違い窓と比べて気密性が高く、開けづらい構造のために防犯性も高い点がメリットです。
上げ下げする構造上、開閉するときに力が必要であり、窓の掃除も困難な場合があります。
すべり出し窓|外から室内が見えにくい
メリット | 気密性・防犯性が高い デザイン性に優れる 狭い空間にも設置できる |
デメリット | 開放する面に十分なスペースが必要 大きい窓は設置できない |
取手やハンドルを回して、ガラス戸を外側に押し出す構造の窓です。
縦横どちらの角度で開くかにより、縦すべり出し窓・横すべり出し窓に分けられます。
さらに、開く方向でも内開き・外開きに区別されます。
引き違い窓の片面分のスペースで設置が可能であり、気密性や防犯性が高いこともメリットです。
ただし、開放する面には窓の幅と同じ広さのスペースが必要となります。
開き窓|開放感のある空間を演出
メリット | 開放感がある掃除がしやすい 気密性が高い |
デメリット | 開放する面に十分なスペースが必要 |
開き窓はガラス戸を蝶番などで留め、扉のように開閉する窓です。
窓枠の左右どちらかを軸として開く片開き窓、2枚のガラス戸を開放する両開き窓があります。
開放感があって風を取り込みやすく、掃除もしやすいことがメリットです。
また引き違い窓と比べて気密性が高いという利点もあります。
一方ですべり出し窓と同じく、開放面には十分なスペースが必要となります。
ルーバー窓(ジャロジー窓)|浴室・トイレに設置してプライバシーを確保
メリット | 開く角度を自由に調整できる プライバシーを確保できる |
デメリット | 気密性に乏しい 防犯性に乏しい |
ルーバー窓またはジャロジー窓は、細長い板ガラスを少しずつ重なるように一定間隔で平行に並べた窓です。
ブラインドのようにハンドル操作で調整して開閉、プライバシーを確保できるため浴室やトイレの窓に多く採用されます。
デメリットとしては、他の窓の種類に比べて気密性に乏しいことです。
また外部からドライバーでガラス板を取り外すこともできるため、面格子などで防犯性を高める必要があります。
はめ殺し窓 (FIX窓)|眺望や採光を目的とした窓
メリット | 気密性が高い デザイン性が高い |
デメリット | 換気ができない 窓の外側は家の外から掃除する必要がある |
はめ殺し窓(FIX窓)は開閉できないように固定されているため、眺望や採光に特化した窓です。
丸形や正方形、長方形などデザイン性も高く、外から見たときに家のアクセントになります。
あくまで採光と眺望を目的とした窓であるため、ガラス戸を開放して換気はできません。
窓の外側の掃除をするときは家の外に回ってから行う必要があるため、手間がかかってしまいます。
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失敗しない窓の選び方
窓の設置場所、開き方による分類をご紹介しました。
ここで挙げた以外にも、窓にはさまざまな種類があるため、「どの窓を選べば良いかわからない」と迷うこともあるでしょう。
お部屋の窓は、お部屋における役割とデザインで選ぶことが大切です。
たとえば家族が集まるリビングを「掃き出し窓」にすると、採光性と通気性が確保され、快適で心地よい空間になります。
一方で掃出し窓を設置できないトイレや浴室には、上げ下げ窓やルーバー窓やおすすめです。
それぞれの窓の持つ採光性や通気性、防犯性などを意識して、その部屋に合った窓を選ぶと良いでしょう。
新築に設置する窓を検討する際は実生活をイメージしながら、事前にショールームなどでいろんな窓に触ってみることをおすすめします。
まとめ
設置場所と開け方による窓の分類、および失敗しない窓の選び方について解説しました。
窓の種類を決めるときは施工会社に相談し、機能面と使い勝手で選びましょう。
高齢者が開けやすいか、小さい子供にとって安全かなど、家族の利用シーンに合わせた選び方も大切です。
monocla(モノクラ)では、窓に関連するリフォームの事例を画像付きで掲載しています。
ぜひ新築の窓選びにご活用ください。