家も買う前に検査を!ホームインスペクションの内容やメリットを解説

ホームインスペクションを実施することで、購入しようとしている中古住宅に、劣化や不具合があるか調べることができます。中古住宅の購入で失敗しないためにも、インスペクションの内容や実施するメリットを知っておきましょう。

ホームインスペクションは住宅の検査

ホームインスペクションとは、住宅の不具合や欠陥を検査することです。物件に耐久性の低下や雨漏りといった問題がないか、購入前に知れるだけでなく、住んでからどのようなリフォームが必要か具体的に知ることもできます。戸建て住宅はもちろん、分譲マンションを購入する時もインスペクションは実施可能です。

ホームインスペクションで検査される箇所

国土交通省が2013年に作成した『既存住宅インスペクション・ガイドライン』によれば、ホームインスペクションは主に以下の箇所について検査するものと記載されています。

検査の観点 具体的な部位 具体的な劣化の例
構造・安全性に関わる箇所 柱、梁、壁、床、基礎など シロアリ被害、腐食、欠損、ずれ、コンクリートのひび割れ、傾斜など
雨漏り・水漏れ箇所 外装(外壁、屋根、サッシ)、内装(天井や壁など) 屋根材や外壁材のずれ、欠損、隙間、シーリング材の劣化、雨漏り跡など
日常生活に支障を与える設備配管の劣化 給排水管、給湯管、換気ダクト さび、赤水、漏水、詰まり、換気不良など

参照:国土交通省『既存住宅インスペクション・ガイドライン』
http://www.mlit.go.jp/common/001001034.pdf

検査は目視や計測といった「非破壊検査」によって行われ、検査のために壁や床を勝手に解体されるようなことは原則としてありません。

インスペクションで検査できないこと

インスペクションで調べられるのは、目視だけで調べることができ、かつ専門器具を使わなくても見つけられる劣化に限ります。従って、シロアリ検査や耐震診断、地盤調査といった、専門的な知識と器具を要する検査はインスペクションで行われません。これらの検査を希望する場合は、専門の業者を別途手配する必要があります。

なぜホームインスペクションが推奨されているのか

2018年4月に『宅地建物取引業法』が改正され、中古住宅の売買において、不動産業者はホームインスペクションについて説明することが義務化されました。不動産業者は、不動産の売主に対してインスペクション業者を「あっせん」できることを説明し、買主に対しては、業者をあっせんする他、インスペクションを実施した場合は結果を説明することが義務となっています。

このように国がホームインスペクションを推奨する理由は、ホームインスペクションに、中古住宅の売主・買主・不動産業者がトラブルを回避できる、様々なメリットが詰まっているためです。

ホームインスペクションで瑕疵がわかる

ホームインスペクションによって、住宅に隠れた欠陥や生活に支障を及ぼす不具合を見つけてもらえます。例えば、雨漏りは家に住んでいる時に雨が降って実際に症状が出るまで、多くの場合気づくことはできませんが、ホームインスペクションを実施することによって、雨漏りが起きそうな屋根裏や外壁の劣化を事前に見つけてもらうことができます。あるいは、配管の詰まりやサビ、床下の傾きやたわみ、屋根材のずれといった、内覧では見落としてしまいがちな箇所も、建築の知識を持った検査員の目で、劣化の有無をまんべんなく調べてもらえます。

必要なリフォームの種類と費用について知ることができる

ホームインスペクションでは、劣化や不具合が見つかっても、修繕までは行われません。その代わり、安全に住める家にするためにどこをリフォームすべきか教えてもらえるため、必要な修繕費用を物件購入前に知ることができます。

また、インスペクションでわかることは、購入時に起きている不具合だけではありません。購入時にリフォームする必要はなくても、住んだ後いずれリフォームすることになる箇所についても教えてもらえます。

中立な視点でチェックしてもらえる

国土交通省のガイドラインでは、ホームインスペクション実施業者の「中立性」が強調されています。もしインスペクションが公正な視点で行われなければ、売主や仲介業者に都合の良い検査結果が作られてしまう恐れがあり、インスペクションを実施する意味がなくなってしまうでしょう。

ガイドラインではインスペクションの中立性保持のために、「売主自らインスペクションを実施しないこと」はもちろん、「不動産業者や施工業者、売主のあいだに資本関係がある場合は、インスペクション実施前に依頼主に説明すること」などが記載されています。

また、中立的な立場の人が検査を行うことには、検査の視点がより厳しくなる効果もあります。いかに優れたリフォーム業者や不動産業者でも、自分が施工した箇所や自分が売る物件は、施工ミスや不具合を見落としやすいものです。中立的な第三者のチェックが入ることにより、施工不良箇所や見落としを、より厳しく見抜いてもらえるでしょう。

既存住宅瑕疵保険付加入時の検査とインスペクションは別物

「既存住宅瑕疵保険」とは、中古住宅の購入から1~5年のあいだに構造部に不具合が起きた時に、修繕や仮住まいの費用を保証してもらえる保険です。中古住宅の購入後、万が一不具合が起きても、「保険加入のための検査を行った検査業者」または「不動産業者」に保険金が支払われ、買主が補修費用を負担する必要なくリフォームが行えます。

瑕疵保険に加入するためには、住宅に劣化がないか検査することが条件となっていますが、この「瑕疵保険加入のための検査」は、ホームインスペクションとは別物であることを押さえておかなければなりません。

「保険に入るための検査」と「住み心地の検査」の決定的な違い

瑕疵保険加入時に行われる検査は、「保険に入るための検査」と言えます。検査時は、保険に加入できなくなるような構造部の劣化や雨漏りの有無のみが検査されます。

一方インスペクションは今起きている劣化の発見だけでなく、「住み心地」という視点で行われる検査です。そのためインスペクションでは、構造部の劣化だけでなく、住んだ人が不快に感じる内装材のカビや、冬に寒くて住みづらくなるような断熱性の欠如なども指摘してもらうことができます。

「瑕疵保険に加入すれば住宅検査もしてもらえるから、インスペクションは実施しなくていい」と考えず、住み心地やリフォームの必要性を知るためにも、インスペクションの実施を検討することをおすすめします。

おわりに

ホームインスペクションを実施するためには、住宅の購入費用とは別に診断費用が必要です。しかし、インスペクションの実施によって「安心」という何よりも大きなメリットを得ることができます。購入を予定している中古住宅に劣化が隠れているか知るためだけでなく、購入後にどのようなリフォームが必要か計画しておくためにも、ぜひインスペクションを活用しましょう。

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