「中古住宅取得時」住宅ローン控除の申告方法と控除額を具体的に解説!

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローン等を利用して、自分の居住用として住宅を取得または増改築等した場合に、住宅ローン等の年末残高の合計額等の基づいた金額を所得税額から控除できる制度です。

住宅ローン控除は中古住宅取得時にも利用できますので、中古住宅取得者向けに住宅ローン控除の解説をします。

住宅ローン控除の申告方法

住宅ローン控除の適用を受けるためには、自営業者か会社員(または公務員)で異なります。

自営業者の場合は、毎年確定申告をしていますので、確定申告と同時に、住宅ローン控除についての必要書類を提出します。1年目だけ「登記事項証明書」や「売買契約書の写し」が必要となるなど、必要書類は会社員(または公務員)の場合と変わりません。

会社員や公務員は、初年度と2年目以後で手続きの仕方が異なります。

・初年度:控除を適用する最初の年度は、必要な書類を添付して確定申告書を納税地の所轄税務署長(税務署)に提出しなければなりません。

・2年目以後:2年目以後は、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出すればよく、確定申告の必要はありません。

住宅ローン控除を適用するために必要な書類は、自営業者と会社員(または公務員)のいずれの場合も共通です。具体的な必要書類は次のとおりです。

【初年度】 <住宅ローン控除を適用するために必要な書類等>

書類入手先備考
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書税務署等
※確定申告書類
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書借入先(金融機関)
家屋の登記事項証明書
敷地の登記事項証明書
法務局いずれかの書類
売買契約書の写し売買契約書の写し 不動産会社・建築会社・工務店等※以下の内容が確認できること。
・家屋の新築又は取得年月日
・家屋の取得対価の額
・家屋の床面積が50㎡以上であること。
・家屋の取得等が特定取得又は特別特定取得に該当する場合には、その該当する事実(平成26年分以後の居住分に限る)

出所:国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」

【2年目以降】 <住宅ローン控除を適用するために必要な書類等>

書類 入手先 備考
年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書 税務署 ・自営業者は確定申告時に提出する。
・会社員や公務員は、勤務先に提出する。
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 借入先(金融機関)

上記の書類以外にも、「耐震基準適合証明書」「建設住宅性能評価書の写し」などが必要になる場合があります。

住宅ローン控除の限度額

会社員や公務員の場合は、年末調整されますので、源泉徴収票の「源泉徴収額」の欄に年間の所得税額が記載されています。この源泉徴収額から控除されるのが住宅ローン控除です。すでに所得税を支払っていますので、還付金という形で返金されます。

すでに支払っている所得税から還付されますので、支払っている金額以上の控除はされませんが、引ききれなかった分は翌年の住民税からも控除されます。所得税と住民税の支払額が住宅ローン控除の上限額となりますが、住宅ローン控除自体にも上限額が設けられています。

■所得税
<住宅ローン控除(消費税10%)>
居住年:令和2年12月31日まで

控除期間控除額備考
1~10年目住宅ローン年末残高等×1%上限額40万円
11~13年目①と②のいずれか少ない額
①年末残高等×1%
②(住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3

※①の「年末残高等」と②の「住宅取得等対価の額(建物の取得価格)」はそれぞれ4,000万円が上限額となります。

令和2年12月31日までは、消費税増税にともない、控除期間が13年まで延長されます。11年目以降の①は、1~10年目と同じ計算方法ですが、②は異なります。住宅取得価格に2%をかけた金額、つまり増税分を3で割っていますので、増税分を3年で均等に控除することができます。たとえば増税により、消費税額が30万円増えれば、10万円が控除額となります。

なお、現行の住宅ローン控除は令和3年12月31日まで適用されますので、令和3年入居の場合、従来通りの控除期間10年となります。

<住宅ローン控除(消費税10%)>
居住年:令和3年1月1日~令和3年12月31日

控除期間控除額備考
1~10年目住宅ローン年末残高等×1%上限額40万円

■住民税
<住宅ローン控除(消費税10%)>
居住年:令和3年12月31日まで

控除期間控除額備考
1~13年目(1)または(2)のいずれか小さい額
(1)前年分の所得税の課税総所得金額等の7%
(2)前年分の住宅ローン控除可能額のうち、所得税から控除しきれなかった額 上限額136,500円
上限額136,500円

住民税は、136,500円まで控除できますが、所得税とは違い、1~13年目の計算方法は変わりません。現行の住宅ローン控除は令和3年12月31日までとなっています。

住宅ローン控除の控除額をシミュレーション

実際に、どの程度の金額が控除されるのか、住宅ローン控除の控除額をシミュレーションしてみましょう。

住宅ローン控除(例) 控除額合計 約255万円

融資金額3,000万円/借入期間30年/金利1.50%/住宅価格1980万円 所得税額22万円 ※1980万円-180万円=1,800万円 1,800万円×2%÷3=12万円

年末残高×1%所得税額控除額判定
1年目29,202,093円292,000円22万円22万円292,000円>222,000円
2年目28,392,131円283,900円22万円 22万円 283,900円>222,000円
3年目27,569,937円275,600円 22万円 22万円 275,600円>222,000円
4年目26,735,332円267,300円 22万円 22万円 267,300円>222,000円
5年目25,888,121円258,800円 22万円 22万円 258,800円>222,000円
6年目25,028,114円250,200円 22万円 22万円 250,200円>222,000円
7年目24,155,118円241,500円 22万円 22万円 241,500円>222,000円
8年目23,268,938円232,600円 22万円 22万円 232,600円>222,000円
9年目22,369,372円223,600円 22万円 22万円 223,600円>222,000円
10年目21,456,220円214,500円 22万円 21.45万円214,500円<222,000円
11年目20,529,275円205,200円 22万円 12万円205,200円>120,000円
12年目19,588,331円195,800円 22万円 12万円195,800円>120,000円
13年目18,633,174円186,300円 22万円 12万円186,300円>120,000円

※100円未満の端数は切り捨て

1年目から9年目までは、所得税額より控除額の方が多いため、所得税額を限度に控除されます。引ききれなかった分は、翌年度の住民税額から控除されますので、結果的に、全額控除されるでしょう。

10年目は、控除額より所得税額の方が多いため、控除額全額が控除されます。住民税からの控除はありません。

11年目以降は、「年末残高×1%」と「1,800万円×2%÷3=12万円」を比べ、少ない方を控除額とします。このケースでは、「1,800万円×2%÷3=12万円」の方が少ないため、12万円が控除額となります。

おわりに

住宅ローン控除を適用するためには、初年度の申告が大変ですが、2年目以降は送られてくる書類を、自営業者なら税務署に、会社員や公務員なら勤務先に提出するだけです。

また住宅ローン控除は、認定長期優良住宅でなければ、最大400万円の控除を受けられますが、シミュレーションで確認したとおり、最大控除額を適用できるとは限りません。

今回紹介した書類以外にも、住宅に合わせた書類が必要となりますので、購入する際に建築会社や税務署などに確認しておきましょう。

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