床暖房には「電気式」と「温水式」をはじめさまざまな種類の床暖房があります。床暖房を導入して冬場でも快適に過ごすには、両者の違いを把握しておくことが大切です。機能やリフォームの費用相場を比較検討し、ライフスタイルに合った床暖房を選びましょう。

床暖房の設置をご検討中ではありませんか?
床暖房と一口に言っても、「電気式」と「温水式」という暖房のシステムの違いがあり、リフォームの費用相場も異なります。
今回は床暖房のリフォームを検討中の方に、電気式と温水式のシステムの違いや、費用相場について解説します。
<あなたにおすすめの記事>
暖房器具を減らせて、すっきりした部屋を作れる床暖房。おしゃれな部屋を作りたい方にも人気のリフォームです。
リビングをおしゃれにするリフォームの予算と事例について解説
2種類の床暖房のシステムまとめ
床暖房の「電気式」と「温水式」の特徴や費用相場を表にまとめました。
システム | 特徴 | 工期と費用相場 |
電気式 | ・設置費用は安いがランニングコストが高い ・狭い部屋向き | 工期:2日 費用:6万円~9万円/畳 |
温水式 | ・設置費用は高いがランニングコストが安い ・広い部屋向き | 工期:3日 費用:8万円~10万円/畳 +給湯器の設置費用 |
どちらの床暖房システムを選ぶかは、設置費用とランニングコストがポイントとなるでしょう。
次章からは、2種類の床暖房のシステムについて詳しく解説していきます。
電気式床暖房
電気式床暖房は、床下に電熱線を内蔵することで床面を暖めるシステムです。
熱源の違いによって「PTCヒーター式」「電熱線ヒーター式」「蓄熱式」に分けられます。
・PTCヒーター式:無駄な電気を使わないPTCヒーターを熱源として採用
・電熱線ヒーター式:電熱線ヒーターを熱源として採用
・蓄熱式:電気代の安い深夜電力を利用して蓄熱、日中に放熱させる
いずれも設置工事は床下にヒーターを仕込むだけなので初期費用が安く、工期も短くて済みます。
ここでは、おもに電熱線ヒーター式について解説します。
電気式のメリット
電気(電熱線ヒーター)式床暖房のメリットをご紹介します。
初期費用が安い
電気式床暖房の最大のメリットは、初期費用が安いことです。
温水式床暖房と比較して安いことはもちろん、PTCヒーター式や蓄熱式と比べても、電熱線ヒーター式は低コストで設置できます。
実際の施工は床下に暖房パネルを設置するだけですので、工期も短くて済みます。
小スペースの暖房に有効
電気式床暖房は狭い場所を暖めることに適しており、部分的に暖めるスポット暖房が可能です。
設定によって暖めたい部分だけを暖めるため、無駄な電気を消費しません。
リビングや寝室など一部屋だけ暖房として使う場合に、電気式床暖房をおすすめします。
デメリット
電気式床暖房は、電気代が高くなりがちな点がデメリットです。
複数の部屋や広範囲で使用すると、電気代も高くなってしまいます。
また電熱線ヒーター式は暖房使用時の電気を使用するため、日中の使用は電気代が割高になります。
電気式床暖房を導入しつつ、ランニングコストを抑えたい場合は、PTCヒーター式や蓄熱式を検討しましょう。
電気代が高すぎると感じる場合は、電気会社を乗り換えるという選択肢もあります。
電気式床暖房を設置する費用相場
工期:2日
費用:6万円~9万円/畳
電気式床暖房の設置にかかる費用は、1畳あたり6万円~9万円が相場です。
たとえば8畳の部屋に電気式床暖房を設置する場合、約50万円~72万円が目安となります。
ただし、これは既存の床の上に熱源を敷き、さらにその上からフローリングなどの仕上げ材を重ねる「直張り」の場合です。
既存の床をいったん剥がしてから熱源を敷く全面張り替えの場合は、1畳あたり1万円~2万円の費用が追加されます。
電気式床暖房はこんな人におすすめ!
電気式暖房の特徴や費用相場を踏まえ、おすすめのポイントを詳しく解説します。
①低コストで床暖房を導入したい人
電熱線ヒーター式は低コストで手軽に導入できますが、ランニングコストは他の床暖房のシステムに比べて割高になります。
そのため、家族団らんの時間や寝る前の数時間など、時間を区切った使用がおすすめです。
②部屋全体を均一に暖めたい人
PTCヒーター式床暖房は、床の温度によって自動で温度調整できる機能を備えています。
部屋の日当たりの良い場所は電力を抑えられるため、部屋全体を均一に、効率よく暖めます。
③電気式床暖房でも電気代を節約したい人
電気式を気軽に導入し、なおかつランニングコストを押さえたい場合は、蓄熱式がおすすめです。
蓄熱式は割安の夜間電力で蓄熱体に熱を蓄えておき、その蓄えた熱を日中に放熱して床面を暖めます。
そのため、割安電力で一日じゅう快適に過ごすことができます。
温水式床暖房
温水式床暖房は、床下に設置した温水パネルでつくったお湯を循環させることで、部屋全体を暖めるシステムです。
効率的にお湯をつくるため、エコキュートやエコジョーズなどの給湯器を設置します。
温水式は熱源の違いによって「温水式電気床暖房」と「温水式ガス床暖房」に分けられます。
・温水式電気床暖房:温水をつくる熱源が電気、ヒートポンプ給湯器を設置
・温水式ガス床暖房:温水をつくる熱源がガス、ガス給湯器を設置
温水式電気床暖房には、ヒートポンプで空気の熱を利用してお湯を沸かす「エコキュート」などを設置します。
一方の温水式ガス床暖房には、ガスでお湯を沸かす「エコジョーズ」などを設置します。
温水式のメリット
温水式床暖房のメリットをご紹介します。
ランニングコストが安い
温水式床暖房の最大のメリットは、ランニングコストが安いことです。
とくに温水式電気床暖房は電気ヒートポンプで空気の熱を活用するため、高効率で電気代も安く済みます。
すでにエコキュートを搭載しているお家であれば、床暖房用のヒートポンプを追加購入することで導入が可能です。
一方の温水式ガス床暖房は、初期費用が温水式電気床暖房の2分の1で済みますが、ランニングコストは割高となっています。
広い部屋を均一に暖める
温水式床暖房は自然対流・伝導・輻射(ふくしゃ)という3種類の熱伝導の仕組みにより、部屋全体を均一に暖めます。
そのため、床の一部だけ寒いといったムラが生じにくく、肌や喉も乾燥しにくいというメリットがあります。
使用する時間帯を気にしなくて良い(温水式ガス床暖房)
温水式ガス床暖房はガスを熱源とするため、電気のように使用する時間帯を気にする必要がありません。
温水式ガス床暖房よりもランニングコストは割高ですが、日中や深夜も同じガス代で使用できます。
デメリット
温水式床暖房には、「初期費用が高め」と「立ち上がりがやや遅い」というデメリットがあります。
まず、温水式床暖房は、電気式床暖房に比べて初期費用が高めです。
温水式電気床暖房を導入する際は、熱源となる専用のヒートポンプを追加購入しなければなりません。
専用のヒートポンプが不要な多機能型エコキュートもあります。
ただし、湯切れが生じた場合は昼間の高い電気料金で沸き直しが必要になり、電気代が割高になります。また床暖房の面積や使用時間にも制限があることにも注意が必要です。
逆にランニングコストは割高となりますが、初期費用を抑えたい場合は温水式ガス床暖房をという選択肢もあります。
もうひとつのデメリットである「立ち上がりの遅さ」も、温水式ガス床暖房なら解消できます。
温水式ガス床暖房の「ホットダッシュ」という機能なら、床面を素早く暖めることが可能です。
温水式床暖房を設置する費用相場
工期:3日
費用:8万円~10万円/畳
温水式床暖房の設置にかかる費用は、温水式電気床暖房の場合で1畳あたり8万円~10万円が相場です。
たとえば8畳の部屋に温水式電気床暖房を設置する場合、約64万円~80万円が目安となります。
さらに、給湯器の「エコキュート」を新たに設置する場合は、30万円~50万円の追加費用が発生します。
一方の温水式ガス床暖房は、給湯器の「エコジョーズ」がエコキュートの半額程度で設置できます。
ただし、ランニングコストは温水式ガス床暖房に比べて割高です。
温水式床暖房は初期費用だけでなく、毎月のランニングコストも考慮したうえで設置を検討しましょう。
温水式床暖房のおすすめポイント
温水式暖房の特徴や費用相場を踏まえ、おすすめのポイントを詳しく解説します。
オール電化住宅にお住まいの人
オール電化住宅にお住まいの人は、温水式電気床暖房がおすすすめです。
温水式電気床暖房は、床暖房専用のヒートポンプ、または多機能型エコキュートへの買い替えで導入できます。
オール電化向けの電気料金プランで、割安になった夜間電力を活用してお湯を沸かすため、毎月のランニングコストを賢く抑えられます。
<あなたにおすすめの記事>
床暖房など、オール電化リフォームにかかる費用相場について紹介します。
オール電化リフォームの費用相場とコストを抑えるポイントを解説
広範囲をスピーディーに床面を暖めたい人
温水式ガス床暖房はホットダッシュ機能により、立ち上がりがスピーディーです。
さらに床暖房の面積が広い場合は、温水式ガス床暖房のほうがランニングコストを安く抑えられます。
床暖房を設置したい場所は?
床暖房を設置するなら、家族の団らんの場所であるリビングがとくにおすすめです。
LDKタイプの間取りであれば、冬場のキッチンでも快適に料理ができます。
家族全員が集まりやすく、一日のうちもっとも長く過ごす場所だからこそ、リビングやLDKへの導入を検討しましょう。
さらに、ご高齢の方がいらっしゃるご家庭であれば、トイレや脱衣所への導入もおすすめです。
冬場に室内の暖かい場所から、寒い場所へと移動すると、重篤な疾患を引き起こす原因となる「ヒートショック」のおそれがあります。
とくに脱衣所やトイレはヒートショックを引き起こしやすい場所であるため、床暖房を設置することで予防効果に期待できます。
<あなたにおすすめの記事>
親子同居リフォームを行う際、費用を抑える補助金や税金対策について紹介します。
親子同居のリフォーム・リノベーションの費用をお得に!補助金と税金対策を解説
まとめ
床暖房を導入する前に、検討したい電気式・温水式の違いやそれぞれの費用相場について解説しました。
エアコンやヒーターとは異なり、床暖房には部屋全体を暖める効果があり、寒い冬場でも快適に過ごすことができます。
ライフスタイルや家族構成に合わせ、最適な床暖房のシステムを検討しましょう。