親子同居を目的としたリフォームや、リノベーションには、さまざまな補助金制度や減税・非課税措置が利用できます。それらの制度を上手く活用すれば、工事費用や税金を100万円以上抑えることも可能です。今回は親子同居のリフォーム・リノベーションに活用できる補助金制度や税金対策を解説します。
新型コロナの影響もあり、親子同居のメリットがクローズアップされています。自宅の二世帯住宅への改修や、バリアフリーリフォームを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
親子同居のリフォーム・リノベーションには、さまざまな補助金制度や税金対策が活用できます。賢く、お得にリフォームをするためにも、ぜひ押さえておきましょう。
<あなたにおすすめの記事>
二世帯住宅の3パターン、完全分離タイプ・部分共有タイプ・完全同居パターンのメリット・注意点を紹介します。
二世帯住宅のメリットと注意点とは?異なる3つのタイプごとに解説
介護保険制度の補助金
要支援もしくは要介護のいずれかに認定されている介護保険の被保険者が介護リフォームを行った場合、介護保険制度の補助金が活用できます。補助金の対象となるリフォーム費用は最大20万円で、所得に応じて7~9割の補助が受けられます。つまり、支給額は最大で18万円です。
介護保険の補助金を活用したい場合は、担当のケアマネージャーに相談しましょう。
対象工事①|玄関のバリアフリー化
おもなリフォーム | 工事費用の相場 |
玄関扉を開き戸から引き戸に交換 | 20万円~30万円 |
手すりの設置 | 3万円~10万円 |
段差解消 | 1万円~2万5,000円 |
玄関のバリアフリー化は、高齢者のご家族が安全に外出するためには欠かせないリフォームです。補助金制度では上表のように開き戸を引き戸へ交換や、移動や昇り降りを楽にするリフォームが対象となります。
玄関アプローチや玄関ポーチも対象となるため、車いすや杖を使用されているご家族がいる場合は検討をおすすめします。
対象工事②|トイレのバリアフリー化
おもなリフォーム | 工事費用の相場 |
出入り口を開き戸から引き戸に交換 | 約10万円 |
温水洗浄便座付き便器に交換 | 10万円~20万円 |
手すりの設置 | 3万円~10万円 |
床材の張り替え | 2万円~4万円 |
トイレはなるべく自分の力だけで済ませたいものです。安全かつ気持ちよくトイレが使用できるように、バリアフリー化のリフォームを検討しましょう。
冬場のトイレはヒートショックを引き起こすおそれもあるため、暖房付き温水便座への交換をおすすめします。ただし、補助金は便器の交換を伴う工事が対象であり、便座の交換だけでは対象となりません。
対象工事③|階段のバリアフリー化
おもなリフォーム | 工事費用の相場 |
手すりの設置 | 3万円~10万円 |
滑り止めの設置 | 1万円~10万円 |
滑りにくい床材に張り替え | 5万円~10万円 |
階段は転倒や滑落といった危険が伴います。安全に上り下りができるように、補助金を利用して手すりや滑り止めを設置しましょう。なお、階段昇降機の設置工事は介護保険の補助金が適用されません。
対象工事④|浴室のバリアフリー化
おもなリフォーム | 工事費用の相場 |
出入り口を開き戸から引き戸へ | 7万円~10万円 |
手すりの設置 | 3万円~10万円 |
床材の張り替え | 5万円~10万円 |
滑りやすい浴室は、転倒の危険性が伴います。浴室内の移動や浴槽の立ち座りを安全に行えるように、手すりを設置しましょう。またタイル張りの古い浴室の場合は転倒事故が起きやすいため、床材の張り替えをおすすめします。
<あなたにおすすめの記事>
二世帯が同じ家に住むとき、お互いが快適に過ごすためにおすすめのリフォームについて紹介します。
親子同居のメリットや注意点は?二世帯が快適に暮らせるリフォームを解説
国の補助金「長期優良住宅化リフォーム推進事業」
長期優良住宅化リフォームは、既存住宅の長寿命化や省エネ化等を目的とした性能向上リフォーム、および子育て世帯向け改修が対象の支援制度です。住宅の省エネ化、耐震性向上、劣化対策に該当する工事に加え、バリアフリーリフォームを行った場合に補助対象となります。バリアフリーリフォーム単独では、補助対象となりません。
補助限度額は1戸あたり100万円、三世代同居対応改修工事を行った場合は150万円までです。
対象工事①浴室のユニットバス化
おもなリフォーム | 工事費用の相場 |
タイル張りからユニットバスへ | 50万円~200万円 |
古いユニットバスを新しいユニットバスへ | 25万円~100万円 |
浴室のユニットバス化は住宅の性能向上に資するリフォームですので、長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助対象です。
とくに高齢者の親と同居する場合は、ヒートショック対策として断熱性能を持つ最新のユニットバスへの交換をおすすめします。ヒートショックとは、急激な温度変化によって心臓や血管の疾患が起こる現象です。入浴中に高齢者が溺死する主な原因の1つとして知られています。
ヒートショック対策と併せて手すりを設置したり、段差を解消したりして、安全かつ快適に入浴できる浴室へリフォームしましょう。
対象工事②三世代同居対応改修工事
おもなリフォーム | 工事費用の相場 |
キッチンの増設 | 80万円~200万円 |
浴室の増設 | 75万円~250万円 |
トイレの増設 | 40万円~100万円 |
玄関の増設 | 50万円~120万円 |
三世代同居対応改修工事とは、キッチン・浴室・トイレ・玄関のうち2つ以上を1戸に複数ヶ所設置する工事です。当該工事を行った場合、補助金額が50万円上乗せされます。実家を二世帯住宅にリフォーム・リノベーションしたいとお考えの方に活用をおすすめします。
既存住宅の断熱リフォーム支援補助金
既存住宅の断熱リフォーム支援補助金は、住宅の断熱性能向上を目的としたリフォーム・リノベーションが補助対象です。天井・床・外壁に断熱パネルを施工したり、二重窓を設置したりした場合に、1戸あたり最大120万円の補助金が受けられます。
対象工事①断熱パネルの施工
おもなリフォーム | 工事費用の相場 |
天井断熱 | 7万円~20万円 |
床断熱 | 20万円~30万円 |
外壁断熱 | 100万円~150万円 |
熱が出入りする天井・床・外壁に断熱パネルを施工して、断熱性能を向上させるリフォームです。住宅の断熱性能を向上させることで、夏は涼しく、冬は暖かい家にすることができます。高齢者の方のヒートショック対策となるほか、冷暖房効率がアップして光熱費の節約にもなります。
対象工事②二重窓の設置
おもなリフォーム | 工事費用の相場 |
内窓の設置 | 8万円~15万円/1ヶ所 |
複層ガラスに交換 | 5万円~20万円/1ヶ所 |
窓は家の中でもっとも外気温の影響を受けやすい場所です。既存の窓に内窓を設置したり、窓ガラスを複層ガラスに交換したりすることで、高い断熱性が発揮されます。費用対効果の高いリフォームですので、親子同居を検討されている方におすすめです。
各自治体の補助金制度
お住まいの自治体が独自に、親子同居のリフォーム・リノベーションに活用できる補助金制度を準備している場合があります。
たとえば、東京都調布市では「バリアフリー適応住宅改修補助」という制度が設けられています。段差解消や手すりの設置等のリフォームを行った場合、10万円を上限として、補助対象工事費の2分の1に相当する額が補助されます。
お住まいの自治体で活用できそうな補助金制度がないか、窓口に相談してみると良いでしょう。
<あなたにおすすめの記事>
限られた資金をうまく利用するために、欠かせない存在であるローン。持ち家のリフォーム資金は、一定の条件をクリアすると「住宅ローン」で借入れ可能になります。
持ち家をリフォームするときの住宅ローンと減税制度について解説
親子同居のリフォーム・リノベーションの税金対策
親子同居のリフォーム・リノベーションは、補助金が活用できるだけでなく、税金面でも優遇措置が受けられます。
住宅ローン減税制度
住宅ローンを利用して100万円超のリフォームを実施した場合、住宅ローン減税の対象となります。入居した年から10年間、毎年の住宅ローン残高の1%が所得税から控除されます。ただし、所得税の減税措置を受けるには、入居した翌年に確定申告が必要です。
不動産所得税の控除
リフォームで家の増改築を行って住宅の価値が上がると、不動産所得税の課税対象となる可能性があります。ただし、増改築後の床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅は、1,200万円までの控除が適用されます。控除を受けるためには、各都道府県の税事務所に申請が必要です。
固定資産税の軽減措置
省エネ、耐震、バリアフリーリフォームを行うと、毎年の固定資産税の軽減措置が受けられる場合があります。バリアフリーリフォームの固定資産税軽減措置の要件は、以下のとおりです。
・賃貸でないこと
・①65歳以上②要介護または要支援に認定③障害がある、のいずれかに該当する方が居住
・築年数が10年以上
・リフォーム後の床面積が50㎡以上
・工事費用が50万円超
上の要件を満たしている場合は、翌年分の固定資産税の3分の1が減税されます。
贈与税の非課税措置
住宅の所有者以外が110万円超の費用を負担してリフォームする場合、贈与税が課税されます。リフォームにかかる贈与税を非課税にするためには、以下の2つの方法があります。
・親の自宅を子の名義に変えてからリフォームする
・親から子へ所有権の一部を移転する
非課税措置が適用されるには、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日の間に、管轄の税務署に贈与税の申告が必要です。
<あなたにおすすめの記事>
親子同居の住宅のリフォームでは、贈与税がかかる場合があります。うまく資金をやりくりするための税金対策について紹介します。
実家をリフォームするときにかかる「贈与税」とは?税金対策を解説
まとめ
親子同居を目的としたリフォーム・リノベーションには、さまざまな補助金制度や減税・非課税措置があります。各制度の手続きや適用の可否については、担当ケアマネージャーやリフォーム会社、税理士等に相談しましょう。
monocla(モノクラ)では、親子同居リフォーム・リノベーションの事例を画像付きで紹介しています。当サイトの事例検索や、事業者への資料請求・問い合わせは無料です。二世帯住宅やバリアフリーリフォームをご検討の方は、ぜひご活用ください。