不動産を取得したときにかかる税金

不動産を取得する際の費用として、住宅ローンの諸費用や不動産の仲介手数料のほかに、税金についても考えておかなければなりません。不動産を取得したときにかかる税金として、不動産取得税、登録免許税、印紙税、消費税がありますので、これらの税金について、中古住宅を購入する予定者向けにまとめます。

不動産取得税

不動産取得税は、建物や土地などの不動産を取得した人に対して課せられる税金です。相続で不動産を取得したときなど不動産取得税がかからない場合はありますが、不動産を購入したときやリフォーム(増改築)したときは不動産取得税が課せられます。

また不動産取得税は、建物や土地などの不動産価格に対して課税されます。不動産価格は、実際の購入価格や工事費用ではなく、あらかじめ定められている基準により評価され、「固定資産課税台帳」と呼ばれる帳簿に登録されている価格を使用します。この価格を「固定資産税評価額」といいます。固定資産税評価額は、土地が購入価格の70%程度、建物が50%程度を目安に評価されます。

不動産取得税では、この固定資産税評価額を課税の対象価額(課税標準)に対して、税率をかけます。税率は、原則3%となっていますが、一定の要件を満たす建物や土地については特例が設けられていますので、不動産取得税の「原則」と「特例」をまとめます。

<不動産取得税の基本(原則)>

納税義務者売買・贈与・増改築等による不動産取得者
課税標準固定資産税評価額
税額計算課税標準(固定資産税評価額)×3%

表のように、不動産取得税は、原則「固定資産税評価額×3%」で計算されます。ただ「特例」を適用できることが多いため、特例の内容も確認しておきましょう。

課税標準の特例(建物)

一つ目は、建物に適用される「課税標準の特例」です。課税標準とは固定資産税評価額のことでしたので、固定資産税評価額を減額してもらえる特例となります。
一定の要件を満たした中古住宅を取得した場合には、課税標準から一定額を控除することができます。

税額計算(課税標準-控除額)×3%
要件床面積50㎡以上240㎡以下
築後20年(耐火住宅は25年)以内

控除額は自治体によって異なり、新築日が新しいほど控除額は大きくなります。たとえば東京都では次のようになります。

新築日控除額
平成9年4月1日以後 1,200万円
平成元年4月1日~平成9年3月31日 1,000万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日450万円
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日420万円

なお、昭和56年6月30日以前は旧耐震基準の建物ですが、耐震改修工事をするなどの一定の基準を満たすことで控除を受けることができます(既存住宅に係る不動産取得税の特例措置/平成26年度税制改正)。

住宅用地の税額軽減の特例(土地)

住宅用地の税額軽減の特例では、床面積50㎡以上240㎡以下で昭和57年1月1日以後に新築された住宅のための土地を取得した場合、土地の税額から一定額が軽減されます。

税額計算課税標準×1/2×3%-控除額
控除額次のいずれか高い方
(a) 45,000円
(b) 土地1㎡あたり価格×1/2×住宅の床面積の2倍(200㎡限度)×3%

※令和3年3月31日までに取得した場合

ここまで解説した「課税標準の特例(建物)」と「税額軽減の特例(土地)」について、具体的に計算し、特例のメリットを確認しておきます。

〇計算例
・平成9年4月1日以後に建てられたの住宅を取得した場合
・固定資産税評価額が、住宅(80㎡)1,000万円、土地(100㎡)1,500万円の場合
・住宅用地の税額軽減が適用される場合

・住宅 1,000万円 < 1,200万円(控除額)となり、課税されません。
・土地
(a) 45,000円
(b) 1,500万円/100㎡×1/2×80㎡×2×3%=36万円
よって、「住宅用地の税額軽減」における控除額は36万円となります。
1,500万円×1/2×3%=22.5万円 < 36万円 となり、土地も課税されません。

〇計算結果
課税標準の特例と土地の税額軽減の特例を適用することができれば、不動産取得税は大幅に軽減されます。中古住宅の取得価格が高くなり、固定資産税評価額が控除額を超えると、数十万円程度の不動産取得税がかかることもありますので、不動産取得税が発生しそうな場合は、住宅取得資金として準備しておいた方がいいでしょう。

なお、ここでは中古住宅を取得する人向けに不動産取得税を解説しましたが、新築の戸建てやマンションにも特例があります(要件や控除額は異なります)。

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記を受ける人が納税義務者となりますので、基本的には不動産を取得した人に課せられる税金です。登録免許税も不動産取得税と同様、固定資産税評価額を課税標準(課税の対象価額)としています。税率は登記内容によって異なります。

また登録免許税にも本則(原則)となる税率と、一定の要件を満たすと適用できる軽減税率がありますので、本則税率と軽減税率をまとめます。

<登録免許税の基本>

納税義務者不動産の登記を受ける人
課税標準固定資産税評価額
税額計算課税標準×税率
※税率は登記内容によって異なります。

<登録免許税のおもな税率>

本則税率軽減税率
所有権保存登記0.4%0.15%(建物)
所有権移転登記(売買)2%1.5%(土地)
0.3%(建物)
0.1%(建物)
抵当権設定登記0.4%0.1%

軽減税率は、床面積50㎡以上で、取得後1年以内の登記であることなど一定の要件がありますが、要件は厳しくないため、多くの人に軽減税率が適用されます。所有権移転登記の軽減税率のうち、「0.1%(建物)」を適用できるのは、「特定の増改築等がされた住宅用建物の所有権の移転登記」の場合で、要件に合うリノベーション(リフォーム)をして中古住宅を取得したい人向けです。

所有権保存登記は、建物を新築したときの登記で、所有権移転登記は中古住宅等を購入し、所有者が変わったときの登記です。また抵当権設定登記は、住宅ローンを利用して不動産を取得したときの登記です。

税率だけではどの程度課税されるか実感がわかないかもしれませんので、具体的に計算して税額を確認してみましょう。

〇計算例
・固定資産税評価額が、住宅1,000万円、土地1,500万円の場合
・住宅ローンは3,500万円

・土地の所有権移転登記 1,500万円×1.5%=22.5万円
・建物の所有権移転登記 1,000万円×0.3%=3万円
・抵当権設定登記 3,500万円×0.1%=3.5万円

※抵当権設定登記は、万一、住宅ローンの返済が出来なくなった場合に、融資先の金融機関が優先的に不動産を売却して現金化するために必要な登記となります。

〇計算結果
登記費用は合計で29万円かかります。登記費用は住宅ローンの融資時に、司法書士への報酬とともに借入先の金融機関に支払います。住宅取得時に司法書士が登記をしますので、登記費用の準備だけ必要となります。

なお、住宅ローンを完済した場合は、抵当権抹消登記をした方がいいでしょう。抵当権抹消時は自ら手続きをする必要があります。手続きを司法書士に依頼することもできますが、司法書士に報酬を支払う必要があります。抵当権抹消登記の費用は、「不動産の個数×1,000円」ですので、土地と建物の場合、2,000円となります。

印紙税

なお、住宅ローンを完済した場合は、抵当権抹消登記をした方がいいでしょう。抵当権抹消時は自ら手続きをする必要があります。手続きを司法書士に依頼することもできますが、司法書士に報酬を支払う必要があります。抵当権抹消登記の費用は、「不動産の個数×1,000円」ですので、土地と建物の場合、2,000円となります。

<おもな印紙税額>

契約金額印紙税額軽減税率
1万円以上100万円以下200円200円
100万円超200万円以下400円200円
200万円超300万円以下1,000円500円
300万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円

中古住宅の取得では不動産売買契約書、リノベーション(リフォーム)については住宅リノベーション(リフォーム)請負契約書を交わしますので、それぞれ印紙税がかかります。

消費税

消費税は購入する建物に対して課せられる税金です。土地には課税されません。また個人が売主となる住宅は消費税の課税対象外となります。

・税率 10%

〇計算例
・住宅の取得価格が1,500万円
 1,500万円×10%=150万円

〇計算結果
 住宅取得価格は、消費税含めて、1,650万円になります。またリノベーション(リフォーム)費用についても消費税の課税対象となります。

おわりに

築浅の中古住宅であれば、不動産取得税では1,200万円の控除額を適用できますので、節税することができます。不動産取得税や登録免許税は不動産の価格が高くなるほど税額も増えますので、不動産価格やリノベーション(リフォーム)費用だけでなく、税額についても見積もりで確認しておきましょう。

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